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浄水場の水素を燃料電池車に、東京の水道システムがオリンピックで進化:スマートシティ(2/2 ページ)
東京都は2020年に開催するオリンピックに向けて「東京水道イノベーションプロジェクト」を開始した。世界一の水道システムを目指して、スマートメーターによる電力・ガス・水道の共同検針システムを導入するほか、浄水場で発生する水素を回収して燃料電池車に供給する実証研究にも着手する。
電力・ガス・水道のスマートメーターを6000戸に
このほかにも競技場や選手村に燃料電池を設置して電力と熱を供給する計画がある。東京オリンピック・パラリンピックの選手村を建設する東京湾岸の「晴海(はるみ)五丁目地区」では、東京都の水道局と東京電力・東京ガスの3者が共同でスマートメーターを使った自動検針システムを導入する予定だ。
オリンピック・パラリンピックが終わると、選手村の宿泊棟は住宅に転換することになっている。面積が18万平方メートルに及ぶ地区に合計24棟を整備して、約6000戸の入居を可能にする(図4)。オリンピック・パラリンピック終了後の2020〜2023年度の4年間で住宅の整備を完了する計画だ。それに合わせてスマートメーターを使ったサービスを提供していく。
計画では2020年度にスマートメーターによる自動検針を開始する。電力・ガス・水道それぞれのスマートメーターで計測したデータを無線で送信して、通信ネットワーク経由で電力会社・ガス会社・水道局それぞれに送る仕組みだ(図5)。水道局では検針したデータを利用して、住宅内の見守りサービスや使用量の見える化サービスを2021年度以降に提供する。
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