お得な電気がスーパーで買える、日本初の生活密着プランで攻める「スマ電」:電気料金の新プラン検証シリーズ(18)(2/2 ページ)
電力の小売全面自由化に向け、消費者の生活目線を意識した新料金プランの発表が続いている。その中で国内初の事例となるスーパーマーケット事業と電力販売を組み合わせた料金プランが登場した。アイ・グリッド・ソリューションズが展開する「スマ電」だ。現行の電力会社より安い電気料金設定と、生活に身近な存在であるスーパーでの割引提供などをメリットに顧客確保を狙う。
店舗ごとに独自のサービスを提供
中部電力エリアでスマ電を販売が決まっているスーパーマーケットは、三重県内を中心に店舗を展開する一号館(三重県四日市市)だ。中部電力の従来電灯Bより基本料金を8%安くし、50/60A契約の場合は基本料金と電力量料金の合計金額からさらに2%の割引を行うという料金プランを提供する(図4)。
さらに一号館ではこうした毎月の電気料金に応じて、同社が提供する「一号館ポイントサービス」のポイントを付与する。このポイント率は通常の5倍に設定しており、日常的に一号館を利用するユーザーであれば、電気料金の支払いで得たポイントを日用品や食材の購入などに充てることができる。
東京電力エリア内における提携先の1社であるベルクス(東京都足立区)では、標準料金プランとは別にオリジナルの料金プラン「スマ電ベルクスプラン」を設定している。これは基本料金や電力量料金の単価そのものは従来電灯Bと同じだが、その合計が一定額を超えた場合に段階制の割引を適用するというプランだ(図5)。東京電力の従来電灯Bと比較して、最大約7%電気料金が安くなるという。
このようにスマ電を提供するスーパーマーケットごとに、料金プランやサービスの内容が異なる。各社は自社が提供しているポイント制度やキャンペーンなどと組み合わせて、独自のサービスを提供していくことができる。スーパーマーケット側の視点から見れば、スマ電の代理販売と併せて、割引特典やポイント付与など、自社店舗に来店する顧客の確保や保持につながる施策を展開できるというメリットがある。現在提携が決まっているのは3エリア合計で5社だが、今後さらに拡大していく予定だ。
スマ電を提供するアイ・グリッド・ソリューションズは、全国5500カ所以上の施設で、節電などに貢献するエネルギーマネジメント事業を展開してきた。特にスーパーマーケットを中心に多くの実績を持っており、今回のスマ電はこれを活用していくかたちだ。既に自由化されている高圧向け市場においても全国1500施設以上への電力供給実績があり、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業も手掛けている。
関連記事
- コンビニが電気を売る時代に、300kWh超で東電より9%安いローソンの戦略
コンビニ各社の中で最初に小売電力市場への参入を発表したローソン。三菱商事と共同設立したMCリテールエナジーを通して、2016年4月から東京電力管内で電力販売を開始する。料金プランは1種類のみという「分かりやすさ」と、ポイント還元によるお得感で一般消費者にアピールしていく狙いだ。 - 東芝が“地産地消”で電力小売事業へ、東京電力より5%安く
東芝は2016年4月からの小売全面自由化に伴い、神奈川県で「電力の地産地消」を取り入れた電力小売事業を行っていく。グループ会社の東芝プラントシステムが県内で運用する太陽光発電設備から電力を調達し、神奈川県内の需要家に対して現在の東京電力の料金より安い価格で電力を販売するという。 - 競争激化で東京ガスが電気料金を値下げ、東京電力・ソフトバンク連合に対抗
昨年末に先陣を切って電気料金を発表した東京ガスが早くも値下げを実施した。東京電力よりも高く設定していた基本料金を同額に合わせたほか、使用量で加算する電力量料金も引き下げる。戸建て3人家族のモデルケースでセット割引を適用すると東京電力+ソフトバンクよりも安くなる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.