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水素社会を家庭の燃料電池から、総額95億円で補助金制度を新設蓄電・発電機器(2/2 ページ)

政府は家庭用の燃料電池「エネファーム」に対する新しい補助金制度を2016年度に開始する。補助金の対象になる基準の価格を設定して、基準額を超えた場合には補助金を減らす独特のスキームを採用する方針だ。価格の低下を誘導しながら、2020年までに累計140万台の普及を目指す。

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既築住宅や寒冷地には補助金を追加

 PEFCを採用したエネファームでは、東京ガスが2015年4月に発売した製品が初めて希望小売価格を160万円まで引き下げた(図4)。しかも工事費を含まない機器だけの価格だ。一方のSOFCは大阪ガスなどが販売しているが、希望小売価格は200万円を超える。新しい補助金の適用を受けるためには、PEFC・SOFCともにメーカーと販売会社が協力してコストダウンを図る必要がある。


図4 エネファームの製品例。PEFC(左)、SOFC(右)。出典:東京ガス、大阪ガス

 エネファームには寒冷地向けの製品や停電時に自立運転が可能な製品もある。通常のタイプと比べて機器の価格が高いため、補助金の基準価格と裾切価格にスライド額を上乗せして調整する。寒冷地仕様の場合は30万円、マンション向けやLP(液化石油)ガスに対応する製品では12万円をスライドする(図5)。


図5 機器のタイプによる基準価格と裾切価格のスライド額。出典:資源エネルギー庁

 さらに寒冷地仕様とLPガス対応の製品に対しては3万円の補助金を追加する。工事費が多くかかる既築の住宅に設置する場合も3万円の追加補助が付く(図6)。それぞれ重複して適用できるため、既築の住宅に寒冷地仕様でLPガス対応のPEFCを導入すると、基準価格以下であれば最高24万円の補助金が出る。


図6 追加補助額。出典:資源エネルギー庁

 経済産業省はエネファームの新しい補助金制度を実施するため、2016年度の予算案に95億円を盛り込んだ。予算が成立してから実施体制を決めて募集を開始する。補助金の対象件数は1年間で6万台程度になる見込みだ。

 水素社会を実現する先導役として政府はエネファームの普及台数を2020年までに140万台、2030年には530台まで拡大する目標を掲げている。そのためにはエネファームの価格が100万円を切って、新築住宅の大半が採用する状況を作り出す必要がある。新しい補助金制度が大幅な価格低下をもたらす突破口になるか注目だ。

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