ニュース
「村に帰る」思いを込めた太陽光発電所、売電益から1億円をバス事業に:自然エネルギー(2/2 ページ)
東日本大震災からまもなく5年が経過するが、事故を起こした原子力発電所から20キロメートル圏内で初めてのメガソーラーが運転を開始した。福島県川内村の復興整備計画で国の認定を受けた事業である。売電益の一部は避難者の帰村生活を支援するバスの運行に活用する。
売電益でバスを運行して帰村者を支援
かえるかわうちメガソーラー発電所を運営するのは、福島県の郡山市に本社を置く再生可能エネルギー専門のエナジアだ。川内村のメガソーラー事業を実施するために2013年に設立したベンチャー企業である。4.5万平方メートルにのぼる建設用地は村がエナジアと協定を結んで賃貸する(図3)。
事業費の一部は経済産業省の「平成26年度 再生可能エネルギー発電設備等促進復興支援補助金(半農半エネモデル等促進事業)」の適用を受けた。メガソーラー事業に加えて、帰村者の生活拡充と村の再興を図るために「かえるかわうち再興バス事業」も計画中だ。メガソーラーの売電益から20年間に約1億円をバス事業に還元する。
川内村の復興整備計画では村の西側にある4.7万平方メートルの採草畑もメガソーラーの用地に転換した。シャープなどが出資して2015年10月に「シャープ川内平伏森(へぶすもり)太陽光発電所」の運転を開始している(図4)。発電能力は同様に2.6MWである。ただし福島第一原子力発電所の20キロメートル圏内には入っていない。
関連記事
- 太陽光発電で全国1位に躍進、被災地に新たなエネルギーの芽生え
震災からの復興を推進する福島県で太陽光発電が急速に拡大している。沿岸部から山間部まで広大な土地にメガソーラーが続々と誕生して、災害に強い分散型の電力供給体制の整備が進んできた。農業と太陽光発電を両立させるソーラーシェアリングの取り組みも広がり始める。 - 希望の光は太陽だった、福島県の居住制限区域で復興資金を生むメガソーラー稼働
福島県の川俣町と戸田建設は、両者で共同で推進する「川俣町山木屋地区復興まちづくり」基本計画の最初の1歩となる「川俣町山木屋地区復興メガソーラー発電所」が完成したことを発表した。 - 「脱原発都市」にメガソーラー、35億円で2700世帯分の電力を
福島第一原子力発電所から20キロメートル圏内にある南相馬市の農地で、発電能力が8MWを超えるメガソーラーの開発プロジェクトが進んでいる。現在も立ち入りが制限されている避難指示区域内の2カ所に建設する計画だ。35億円にのぼる総事業費を地元の金融機関も加わって支援する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.