360度全ての風が使えて低騒音、羽を縦に並べる小型風車で55円市場を開拓:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
FITの買取価格が55円と高水準に設定されていることも影響してか、「第4回 国際風力発電展」では20kW未満の小型風力発電設備が多く展示された。その中で日本の風力発電設備メーカーであるWINPROは、独自開発の垂直軸型の発電設備を披露。弱い風でも発電が可能しやすく、騒音が少ないなどのメリットがあるという。
売電専用の20kWモデルも
WINPROでは独立電源タイプの5kWモデルに加え、売電専用の20kWモデルも用意。こちらは全高約30メートルでブレードは6枚利用する。出力19.8kW、定格風速11.0m/sで、風速3.5m/sから発電を開始できる。パワコンは9.9kWを2台搭載し、発電量に応じて稼働数が自動で切り替わり、効率の良い売電が行えるようにした。
発生率の高い平均風速6m/s前後で得られる発電量を重視した設計になっており、この場合の発電効率の目安は25%前後になるという。平均風速6.0m/sの土地で1年間発電し続け、1kWh(キロワット時)当たり55円で20年間売電する場合、年間約4800万円程度の売電収益が見込める。同社ではこの他に出力30kWの風力発電機4基と出力100kWのパワコン1台を基本構成として、100〜500kW程度の中・小規模な発電設備を構成できる商品も用意する。
垂直軸型の風車の場合、ブレードなどの回転部のベアリングに掛かる荷重が、一般的なプロペラタイプの風力発電機より大きくなる。従って風車が大型になるほど抵抗が増え、発電効率が落ちてしまう。そこでWINPROでは同社の風車に独自開発の機構を採用している。これは永久磁石の特性を活用して本来ベアリング部分が受ける重量を軽減するもので、微風時の始動性を高めるなど、運転効率の向上に貢献するという。
各風車の価格は非公開だが、同じ出力の風力発電機器と比較した場合、多少高くなるという。これはこうした垂直軸型風車向けの部品が市場に少ないことなどがその要因となっており、WINPROでは「価格が多少高くなるのは垂直軸型が持つメリットとトレードオフになる部分と考えているが、今後は量産とともに低価格化も進めていきたい」(ブース担当者)としている。
関連記事
- 太陽光と風力で港街の街路を照らす、災害時の電力供給も可能に
神奈川県横浜市の湾岸地域であるみなとみらい21地区に、太陽光と風力発電でLED照明を点灯させる「ハイブリッド街路灯」の設置がスタートする。災害時には内蔵の蓄電池から電力を供給することも可能だ。 - 小型風力発電を関西国際空港で、航空機への影響を調査
再生可能エネルギーや水素エネルギーの導入を積極的に進めている関西国際空港で、新たに風力発電を実施する。出力が5kWの小型風力発電機を空港内に設置して、風速や発電量のほか、航空機に対する影響を把握するのが目的だ。3月末までに工事を完了して運転を開始する。 - 買取価格が太陽光の1.5倍、それでも普及しない小形風力
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が出力20kW未満の「小形風力発電」のてこ入れに乗り出す。発電機やパワーコンディショナー、支柱を中心に部品を共通化し、導入時の投資コストを3年間で30%削減することが目標だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.