板紙の生産工場で木質バイオマス発電、電力の2割をCO2フリーに:自然エネルギー(2/2 ページ)
100年以上前に日本で初めて段ボールを生産したレンゴーが全国各地の工場に再生可能エネルギーを拡大している。新たに埼玉県の板紙生産工場に木質バイオマス発電設備を導入して運転を開始した。発電能力が9MWの大規模な設備で、工場内で使用する電力の2割を供給できる。
バイオマスのほかに太陽光発電も拡大中
レンゴーの工場では板紙や段ボールの生産時に大量のエネルギーを消費するため、各工場に自家発電設備を導入している。1990年の時点ではCO2排出量の多い重油や石炭を燃料に利用する割合が65%にのぼっていたが、エネルギー効率の高い都市ガスとLNG(液化天然ガス)の比率を高めてCO2排出量を減らしてきた。2014年には全体の55%がガスで、バイオマスと廃棄物の比率も7%に高まっている(図5)。
全国各地に展開する生産拠点のうち、現在までに八潮工場を含めて4カ所にバイオマスと廃棄物による発電設備を導入した。さらに太陽光発電を実施している工場が8カ所ある(図6)。太陽光による発電量は2014年度に532万kWhに達した。
太陽光発電では2010年に開設した福島矢吹工場の設備が最も大きい。工場の屋上と地上を合わせて8500枚の太陽光パネルを設置して、1.5MWの発電能力がある(図7)。晴れた日の昼間には工場で使用する電力をすべて供給できる。年間の発電量は145万kWhを見込んでいる。
レンゴーは2020年に向けて、事業活動による環境負荷を低減する「エコチャレンジ020」を実施中だ。その中で生産部門におけるCO2排出量を2015年度に1990年度比で30%、2020年度には32%削減する目標を掲げている。
2014年度のCO2排出量の削減目標は26%だったが、それを上回る29.4%を達成した(図8)。新たに八潮工場に導入した木質バイオマス発電設備の導入効果は約6%に相当することから、2020年度の目標達成も確実になった。
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