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500基が一気に普及するか、20kWの風力スマートエネルギーWeek 2016(1/3 ページ)

国内でなかなか導入が進まない出力20kW未満の風力発電システム。確実に売電でき、工期が短く、実出力が高いことをうたう製品が登場した。「第4回 国際風力発電展」に製品を展示したC&Fアジアパシフィックの代表取締役を務める漆谷敏郎氏に聞いた。

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図1 C&Fアジアパシフィックの代表取締役を務める漆谷敏郎氏

 「出力19.5kW(キロワット)の風力発電システム『CF20 JAPAN Limited』を既に160基受注した。年間500基の販売が目標だ」(C&Fアジアパシフィックの代表取締役を務める漆谷敏郎氏、図1)。

 日本国内では20kW未満の風力発電システムの導入が進んでいない。漆谷氏はこの状況を打破することを目指すという。

 目標の実現を支える4つのポイントがあるとした。固定価格買取制度(FIT)の買取価格と風力発電システムに必要な費用の明確化、制度面でのサポート、工事面でのサポートだ。

FIT買取価格が追い風

 まずはFITの買取価格。2016年度は10kW以上の太陽光発電の買取(調達)価格が27円(税別)から同24円に引き下げられる見込み。その一方で、20kW未満の風力は同55円を維持する見込みだ。「利回りを求める顧客は太陽光発電よりも、風力発電に注目している」(漆谷氏)。

 次に風力発電システムの立ち上げに要する費用を明確にした。ローターとナセル(図2)、タワー、パワーコンディショナーなどの風力発電システム一式の価格は1980万円(税別)。「標準的な部品を採用することで、風車のコストを下げている」(同氏)。


図2 CF20 JAPAN Limitedのナセル部分 2016年3月2〜4日に開催された第4回 国際風力発電展(WIND EXPO 2016、東京ビッグサイト)に展示したもの。

 顧客はこの他、土地取得費用と施工費などを支払うだけでよい。これらの費用を合計した初期費用は約2760万円だという。

 風力発電の損益は、FITの買取価格と費用、発電量が分かれば計算できる。同社の試算では、年平均風速6m/s(メートル毎秒)が期待できる場合、20年で約3200万円の損益となる。7m/sであれば約5200万円(図3)、条件のよい同9m/sの場合は、約8200万円になるとした*1)

*1) 「東北地方の風況がよい地域では、4年程度で投資を回収できるだろう。ただし、関東地方では一部の風況のよい地域以外は導入に向いていない」(漆谷氏)。


図3 CF20 Japan Limitedの損益計算シミュレーション クリックで拡大
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