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500基が一気に普及するか、20kWの風力スマートエネルギーWeek 2016(2/3 ページ)

国内でなかなか導入が進まない出力20kW未満の風力発電システム。確実に売電でき、工期が短く、実出力が高いことをうたう製品が登場した。「第4回 国際風力発電展」に製品を展示したC&Fアジアパシフィックの代表取締役を務める漆谷敏郎氏に聞いた。

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制度面でのサポートとは?

 FITを利用した発電システムでは、系統連系できることが大前提だ。そこで、風力発電システムが確実に導入できるように工夫した。購入契約を顧客が結んでから売電開始までに起こりうる課題を取り除いた形だ*2)

 「当社の風力発電システムは、日本海事協会の風力認証(ClassNK)を受けており、パワーコンディショナーとの組み合わせも決めている*3)。従って、経済産業省への設備認定手続きに問題がなく、電力会社(一般電気事業者)に対して系統連系の申し込みをする際や電力購入契約を結ぶ際、部材を理由として拒否されることはないといえる」(漆谷氏)。

 購入契約後、同社が部材をアイルランドに発注し、到着まで8週間を要するという。「この期間に地質調査とボーリングによるN値の測定が必要だ。基礎工事は2日間で完成する。必要な面積が5m×5mだからだ」(同氏)。

*2) 購入契約締結前に、電力会社との事前相談と接続検討(連系検討)の申し込みを終えていなければならない他、土地の確保と風況の確認が必要だ。「まず新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の風況マップを確認後、当社の風速計で計測して欲しい。1年間の計測が理想的だが、風況を把握しやすい地元に設置する場合は最短で1カ月ということもある」(漆谷氏)。
*3) NEDOは出力20kW未満の小形風力発電が普及しない理由を2つ挙げている。そのうち1つが、風力発電用のパワーコンディショナーに認証制度が存在しないことだ(関連記事)。

油圧で工期短縮、費用抑制

 本体の工事にも工夫がある。一般の風力発電システムでは部材の輸送の他、タワーを直立させる工程に費用が掛かる。クレーンなどの重機でつり上げなければならないからだ。同社のタワーは根元に油圧で動作するジョイントを設けており、車両から油圧を供給するだけでタワーが立ち上げる(自立式油圧シリンダー方式)。このため、4トン車だけで対応できるという。

 「数分程度でタワーが立ち上がる(図4、図5)。部材到着から2日でタワーが完成し、周囲に設置したパワーコンディショナーと接続すればよい」(同氏)。

 CF20 JAPAN Limitedを開発したのは、アイルランドC&F Green Energy。C&Fアジアパシフィックは同社の輸入代理店だ。C&F Green Energyは輸入代理店に対して、作業者の資格認定制度を設けているため、確実な作業が可能になるのだという。


図4 タワー立ち上げの様子 立ち上げを開始した時点。

図5 タワー立ち上げの様子(2) 約20秒後の様子。

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