太陽光発電を改善、最高効率から工期半減まで:スマートエネルギーWeek 2016(4/4 ページ)
太陽光発電システムを住宅に導入する際、課題が幾つかある。狭い屋根をいかに有効利用するか、設置費用をどのように抑えるか。第9回 国際太陽電池展ではパナソニックがこれらの課題に応えた。
台風にも強い
屋根上に太陽電池モジュールを設置する工事は大きく2つの工程に分かれており、別々の作業員が対応することも多いという。まずは屋根に棒状のフレームをボルトで取り付ける工程だ。ここはPS工法と従来工法の間で違いは少ない。
もう1つはフレームにモジュールを取り付ける工程。現行の工法では電動工具を用いて架台にモジュールをボルト締めしている(図8)。PS工法では電動工具を必要とせず、PS工法対応モジュールをはめ込むだけでよい。
「現行の工法では例えばモジュールの縁の4カ所をナット締めで固定している。丁寧に作業したとしても締め方がゆるかったり、作業後の確認が不足する場合がある。台風が多数通過する地域では長期間にわたって少しずつ緩み、最終的にはモジュールが外れてしまうケースがあった。既存の工法の問題というよりも、作業者の技能、確認不足が原因だ。PS工法であれば、こういった可能性が大きく減る」(同社)。
3つの小形金具でモジュールをしっかり固定
図9はPS工法対応のモジュールの模型(透明な部材を使用)を取り付けているところ。左上から右下に伸びる2本の銀色のフレーム上にPS工法対応の3種類の金具があり、そこにモジュールを引っかけていく形だ。
図10にモジュールを取り付ける前のフレームの状態を示した。左下にはフレーム上に金具が見える。透明なモジュールを左側からつかむ金具Bと上側から押さえる金具C、何も保持していない金具Aだ。図10右上には何も保持していない金具Bも見える。
金具Aはフレームに空けた穴によって位置決めされている。金具Bと金具Cは隣接していて、金具Cは少し上にずらすことができるようになっている。まず、金具Aへ図9のようにモジュールを「差し込む」。次に金具Cを少し上にずらせて、金具Bと金具Cの間にモジュールの縁を入れる。すると両金具が挟み込む形でモジュールが固定される。
金具Cは図10のはめ込み写真のように、モジュールの溝をしっかり押さえつけており、金具Cのすぐ隣には次の金具Aがある。このため金具Cがずれて外れることもなく、モジュールがしっかり固定される形だ。
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