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いまさら聞けない「フロン排出抑制法」、ついに始まる「漏えい量」の報告義務法制度・規制(4/4 ページ)

「フロン排出抑制法」が2015年4月1日に施行されてから間もなく1年が経過する。今回の改正では業務用のエアコン・冷凍冷蔵機器の管理者には機器およびフロン類の適切な管理が義務付けられた他、一定の量フロンが漏えいした場合には国への報告が必要になった。環境省はこのほどこのフロン排出抑制法に関するセミナーを開催し、あらためて改正のポイントを説明するとともに、イオン、ローソンなどの企業が自社の対策状況について語った。

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次世代冷媒の開発とサポートサービスを拡充

 セミナーには空調や冷蔵冷凍機器メーカーとしてダイキン工業とパナソニックも登壇。ダイキン工業 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 技術担当課長の山南明久氏と、パナソニック アプライアンス社 冷凍空調デバイス事業部 冷凍機システム部 部長の橘秀和氏が製品メーカー側の視点からフロン排出量抑制法に対する取り組みについて語った。

ダイキン工業 空調営業本部 テクニカルエンジニアリング部 技術担当課長の山南明久氏(左)とパナソニック アプライアンス社 冷凍空調デバイス事業部 冷凍機システム部 部長の橘秀和氏(右)

 ダイキン工業では地球温暖化とオゾン層破壊の原因となるフロン類の転換に向けて、次世代冷媒の開発を推進。同社が現時点で最も適している次世代冷媒とするのがR32だ。R32はGWPが低く、環境性能が高いという特徴がある。同社では2012年にR32を使用したルームエアコンを市場投入しており、今後もさらに製品ラインアップを拡充してく方針だ。「現在使われているR410AからR32に転換すると、温暖化影響の76%を削減できる」(山南氏)

 パナソニックでは次世代冷媒として、CO2冷媒のR744を使用したノンフロン冷凍機の開発を推進している。さまざまなニーズに対応できるよう、製品ラインアップの拡充を進めているという。CO2冷媒であれば、フロン類と異なり破壊・回収料が不要になり、定期点検のコストも下がる。現時点ではまだ導入コストが高くなるが、補助金の活用やこうしたメリットとともに提案を進めていく方針だという。

 そしてこうした環境負荷の低い次世代冷媒を活用した製品開発の他、両社ともに注力しているのがフロン排出抑制法に対応した設備管理のサポートサービスだ。ダイキン工業では機器の管理、点検サポート、算定漏えい量の集計が可能なサポートツール「ダイキンフロン点検ツール Dfct」を提供。パナソニックでは「S-Cubo(エスクーボ)」というクラウドシステムを活用した管理・点検サービスを提供している。

 こうしたサービスを提供する中で、指摘されたのが中小企業に対するフロン排出抑制法の概要、そして対応手順などの認知だ。自社が所有する事業所に設置されて空調・冷凍機器を全て把握できていない場合も多いという。フロン排出抑制法については、環境省が特設ページを開設しており、空調・冷凍冷蔵機器メーカー側でも情報を用意している。対象となる事業者は再度内容を確認しておきたい。

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