鉄道の線路に太陽光パネルを設置、使わないレールの上でメガソーラーが稼働:自然エネルギー(2/2 ページ)
北東北で再生可能エネルギーを拡大中のJR東日本が、秋田県内で3カ所目になるメガソーラーの運転を開始した。以前には列車を入れ替えるための操車場があった場所で、何本も残っている線路を利用して太陽光パネルを設置した。鉄道の沿線から年間に470世帯分の電力を供給する。
稼働状況はインターネットで遠隔監視
すでに稼働していた2カ所は新設のメガソーラーから北へ10キロメートルほど離れた場所にある。いずれもJR東日本が所有する線路脇の斜面に太陽光パネルを設置して、1年前の2015年3月に運転を開始した(図4)。
発電能力は合計で3.1MWになる。年間の発電量は400万kWhを見込んでいて、一般家庭の1100世帯分に相当する。2カ所のメガソーラーには街路灯も設置した(図5)。停電時でも点灯して地域の防災対策に生かす。
新設したメガソーラーを含めて3カ所の発電状況は遠隔地のディスプレイに表示できるようになっている。ディスプレイを設置した場所は沿線の駅に隣接する「追分鉄道設備技能教習所」の中にある。画面上で現在の発電電力の大きさや当日の発電量のほか、メガソーラーの様子をインターネット経由で見ることができる(図6)。
JR東日本は再生可能エネルギーが豊富な東北の北部を対象に、2012年から「再生可能エネルギー基地」を展開するプロジェクトを推進してきた。青森県では地熱資源とバイオマス発電の開発に取り組む一方、秋田県では太陽光と風力発電を拡大する(図7)。
風力発電所は日本海沿岸にある鉄道林の用地に建設中で、2016年の秋に運転を開始する予定だ。発電能力は2MWで、年間の発電量は580万kWhを想定している。一般家庭で1600世帯分に相当する。同じ秋田県内で稼働中の3カ所のメガソーラーと合わせて3200世帯分の電力になる。
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