寒かった2月に電力の需要が回復、東北や九州など6地域で前年を上回る:電力供給サービス
減少を続ける電力会社の販売量が2月に少し回復した。10社の合計では前年比1.7%の減少ながら、東北・北陸・中国・四国・九州・沖縄の6地域では前年を上回った。ただしオフィスで利用する業務用は多くの地域で落ち込みが大きく、北海道・東京・関西では7%を超える減少率になっている。
電力会社10社が2016年2月に販売した電力量は729億kWh(キロワット時)で、前年同月から13億kWhの小幅な減少に収まった(図1)。家庭で利用する「電灯」が0.5%減で済んだことが大きい。ただし企業や自治体が利用する「業務用」は4.6%の減少で、落ち込みに歯止めがかからない状態だ。工場が利用する「産業用」は1.4%減にとどまり、2014年12月(0.7%減)以来の低い減少率だった。
地域別では明暗が分かれた。平年よりも気温が低下した地域では久しぶりに需要が回復した。10地域のうち沖縄が最も伸びて前年を3.4%上回った(図2)。2月は沖縄でも最低気温が10度を下回る日が多く発生して、暖房需要が増加したためだ。特に業務用が前年比11.7%増と2ケタの伸びになり、電灯も5.6%増えている。
同様に九州でも電灯が前年比5.6%の増加で、全体でも1.9%伸びた。そのほかの地域では東北が1.8%増、中国が1.7%増と伸びが大きかった。北陸と四国も前年の実績を上回り、業務用と産業用の増加が目を引く。
一方で需要が減少したのは北海道・東京・中部・関西の4地域である。その中でも関西はすべての用途で軒並み減少して、全体で6.3%減の大幅な落ち込みを記録した。特に業務用が9.1%減になり、販売量の縮小が続いている。企業や自治体の節電効果に加えて、新電力へ移行する流れが加速している状況がうかがえる。北海道と東京でも業務用は前年から7.3%減少した。
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