再生可能エネルギーの投資額が過去最高に、2015年に全世界で35兆円:自然エネルギー(2/2 ページ)
先進国と発展途上国の双方で再生可能エネルギーの投資が拡大している。国連の環境問題を担当する機関が各国の投資状況をまとめたところ、2015年の投資額は全世界で35兆円に達して、過去最高だった2011年を上回った。日本は中国と米国に次いで3番目に多く、投資額は4兆円にのぼった。
小規模な設備の投資額は日本が1位
国別では中国の投資額が圧倒的に大きい。前年から17%増えて、1000億ドルを超えた(図5)。世界全体の36%を占めている。第2位は米国で、第3位に日本が続く。日本の投資額はドル・ベースでは0.1%の増加だが、年間の平均為替レートが2014年の107円から2015年に122円へ上昇した影響がある。この点を考慮すると実際には14%の伸びになり、中国や米国に近い水準の成長率で拡大した。
図5 上位10カ国の投資額と成長率(2015年)。単位:10億ドル。SDC:Small Distributed Capacity。VC/PE:Venture Capital/Private Equity。出典:UNEP、Bloomberg New Energy Finance
日本の特徴は発電能力が1MW(メガワット)未満の小規模な設備に対する投資が非常に多いことだ。投資額の9割近くを小規模な発電設備が占めていて、米国や中国を大きく引き離している(図6)。ドル・ベースの成長率で13%、実質的には30%近く拡大した。太陽光を中心に固定価格買取制度の対象になる発電設備が増加したためだ。ただし太陽光の買取価格が低下してきたことにより、今後は成長率が鈍る可能性が大きい。
全世界の再生可能エネルギーに対する投資額は火力発電や原子力発電を大きく上回っている。2015年の火力発電の投資額は石炭とガスを合わせて1300億ドルで、再生可能エネルギーの半分以下だった。原子力は200億ドルに過ぎず、大規模な水力の430億ドルと比べても小さい(図7)。もはや原子力に投資する国が少ないことを示している。
この結果、2015年に運転を開始した発電設備の容量でも再生可能エネルギーが全体の5割以上を占めた(図8)。残りは石炭火力とガス火力を合わせると3割強になる。大規模な水力と原子力はそれぞれ1割以下である。
図8 全世界で2015年に運転を開始した発電設備の種別と容量。単位:100万キロワット。上から時計回りに、石炭、ガス、原子力、水力(大規模)、再生可能エネルギー(大規模な水力を除く)。出典:Bloomberg New Energy Finance
2015年に全世界にある発電設備の容量を合計すると、再生可能エネルギーの比率は16.2%まで拡大した(図9)。前年から1ポイントの上昇で、7年間で2倍になっている。年間の発電量でも初めて10%を超えた。2012年以降の投資額が火力や原子力と比べて格段に大きいことから、今後も再生可能エネルギーの比率は設備容量・発電量ともに増え続けていく。
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