2017年4月から変わる固定価格買取制度、知っておくべき改正ポイント:自然エネルギー(4/4 ページ)
再生可能エネルギーの固定価格買取制度を定めた法律が2017年4月1日に改正される予定だ。買取価格の決定に入札方式や複数年度方式を導入して制度を抜本的に変更する。発電設備の認定基準の項目も大幅に増やして、太陽光発電の規制を強化するなど、事業者に与える影響は大きい。
買取義務は送配電事業者に一本化
事業者にとって気になることの1つは、すでに認定を受けた発電設備が改正後の対象になるかどうかである。施行日の2017年4月1日までに電力会社と接続契約を締結していれば、買取価格を含めて認定状態は継続する。施行日までに接続契約を締結できないと、認定が失効してしまう(図10)。ただし認定から施行日までの期間が9カ月に満たない場合などは例外になる。
かりに認定を継続できた場合でも安心できない。長期にわたって運転を開始しない発電設備に対して認定を取り消すルールも追加する。発電設備の種類や規模に応じて、認定取得から運転開始までの期限を設ける予定だ。たとえば事業用の太陽光で1MW以上の発電設備は3年を期限に設定する案が考えられる。
このほかに事業者が注意すべき改正点は、電力を買い取る義務が従来の小売電気事業者から送配電事業者へ移行することである。固定価格買取制度では買取義務と接続義務が決められていて、それぞれ事業者間で契約を締結する必要がある。改正後は2つの義務を送配電事業者が担うことになる(図11)。
送配電事業者は電力会社の送配電部門だけに認められるため、地域ごとに買取義務と接続義務が電力会社に一本化される。そのうえで買い取った電力を小売電気事業者に供給する義務を負う。供給方法は2通りある(図12)。
1つ目の方法では送配電事業者が卸電力取引市場に電力を引き渡して、小売電気事業者が自由に買い付けることができる。2つ目は発電事業者と小売電気事業者が個別契約を締結する場合で、送配電事業者は買い取った電力を契約対象の小売電気事業者に限定して供給しなくてはならない。
以上のように固定価格買取制度の広い範囲にわたって、新しいルールが2017年度から適用される。改正点の多くは発電事業者にとって従来よりも厳しい内容だ。施行までの猶予期間は1年しかない。そのあいだに改正の内容を十分に把握して準備を進めておく必要がある。
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