ニュース
デマンドレスポンス実証で最大16.8%の電力消費削減効果を達成:エネルギー管理
川崎市とアズビルは電力利用合理化の取り組みとして、冬季使用電力のデマンドレスポンス(DR)の実証を実施し、空調設備の電力消費削減によりベースライン(基準値)に対して最大で16.8%の削減を達成する成果を得た。
今回の実証は「川崎駅周辺地区スマートコミュニティ事業」の一環として、2016年1月20日、2月4日、2月22日の3日間、同駅東側の川崎御幸ビルで行った。アズビルから仮想的に発行された需要抑制の依頼(DR通知)に対し、アズビルの集中管理センターから現地BEMSを通じて遠隔制御による空調機の電力消費削減(Auto-DR)を実施し、快適性を維持しながら使用電力を削減した(図1)。
その結果、デマンドレスポンス実施通知前30分の平均値に対して最大16.8%、平均でも12.9%の削減効果を確認した。また、実施時にDR対象フロアの湿度、CO2濃度を計測した結果、いずれの時間帯も室内温度は設定温度で推移し、CO2濃度は基準値以下で推移したことも確認している(図2)。
川崎市は将来的なDRなどを見据えて、こうした実証などを多様な企業などと連携して進めている。川崎駅周辺地区スマートコミュニティ事業では、アズビルと今回の実証をはじめ「BEMSを活用したビル内管理」をテーマに地域主体のエネルギーマネジメントにかかわる実証事業を行い、建物オーナーとテナントが連携して省エネを図り、双方がメリットを生み出す仕組みづくりのプロジェクトを進めている。
関連記事
- 電力不足の時に需要を抑える「デマンドレスポンス」
電力システムの新しい機能として欧米で導入が進む「デマンドレスポンス」が、日本でも実用段階に入ってきた。夏の昼間などに電力不足の可能性が生じた時に、利用者が協力して需要(デマンド)を抑制する仕組みだ。システムを使って実行機能を自動化する取り組みも始まっている。 - インセンティブで電力需要を減らせるか、6種類のデマンドレスポンスで検証
地域単位で電力の需要を抑制する方法に「デマンドレスポンス」がある。東京電力は6組のアグリゲータと連携して、それぞれ違う方式によるデマンドレスポンスの実証事業を2014年度に実施する。合計1100カ所の事業所を対象にインセンティブを提供、最大9万kWの需要削減を試みる計画だ。 - “行動型デマンドレスポンス”を実現、東京電力が提携する米ベンチャーの実力
米Opowerの日本法人オーパワージャパンは「新電力EXPO 2016」に出展し、同社の電力事業者向けの顧客データ分析サービスをアピールした。同社は2007年創業のベンチャー企業だが、現在全世界で98社、米国の上位電力会社の75%がそのサービスを利用しているという。2013年には東京電力との提携も発表している。“行動型デマンドレスポンス”を可能にするという同社のサービスの詳細について取材した。 - 世界最大級の商業ビルでデマンドレスポンス、電力消費を年間35%削減
米国シカゴにある世界最大級の商業ビル「マーチャンダイズマート」に、ジョンソンコントロールズが蓄電システムを導入した。同ビルではデマンドレスポンスにより、年間の電力消費量を約35%削減できるようになる見込みだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.