シャワートイレを生産しながら太陽光で発電、工場から1700世帯分の電力を供給:自然エネルギー
窓やトイレをはじめ建材と設備機器を生産・販売するLIXILが、自社の工場を利用して太陽光発電を拡大している。シャワートイレを生産する愛知県の工場で5カ所目のメガソーラーが運転を開始した。年間の発電量は1700世帯分にのぼり、5カ所を合わせると7200世帯分の電力を供給できる。
LIXIL(リクシル)がシャワートイレの基幹工場として運営する知多工場では、4月2日から「LIXIL 知多 SOLAR POWER」が稼働している。工場の構内に残っていた未利用地に加えて、製造施設の屋根にも太陽光パネルを敷き詰めた(図1)。合計すると1万8000枚の太陽光パネルで、発電能力は5.2MW(メガワット)になる。
年間の発電量は600万kWh(キロワット時)を見込んでいる。一般家庭の電力使用量(年間3600kWh)に換算すると1700世帯分に相当する。発電した電力は固定価格買取制度を通じて中部電力に売電する計画だ。2013年度に認定を受けたため、1kWhあたり36円(税抜き)で売電できる。年間の売電収入は2億円強にのぼる。
LIXILは東日本大震災よりも前の2010年から、自社工場の未利用地や跡地を利用して太陽光発電事業に取り組んできた。建材・設備機器メーカーとして省エネ型の商品を普及させるのと同時に、生産拠点の工場で再生可能エネルギーの発電量を増やして環境負荷を低減する狙いだ。
最初にメガソーラーが稼働したのは熊本県の有明工場と茨城県の岩井工場で、2カ所とも2011年1月に運転を開始した。それぞれ3.8MWの発電能力があり、当時は国内最大級の規模を誇った。太陽光パネルを設置するための架台は軽量のアルミ製で、LIXILとNTTファシリティーズが共同で開発したものである(図2)。
その後も福島県の須賀川工場で6.4MW、京都府の綾部工場の跡地で4.9MWのメガソーラーを相次いで稼働させた(図3)。新たに運転を開始した知多工場のメガソーラーを加えて、5つの工場で合計24MWの発電能力になる。いずれも自社製のアルミ架台を採用している。5カ所を合わせた年間の発電量は2600万kWhにのぼり、7200世帯分に相当する電力を供給できる。
LIXILは全世界のグループ全体で2030年までに「環境負荷ネットゼロ」を実現する新しいビジョンを3月29日に発表している。環境に配慮した製品・サービスを開発して低炭素と節水を通じた「環境貢献」を増やす一方で、原材料の調達から製品の製造・廃棄までの事業活動がもたらす「環境負荷」を減らしていく計画だ(図4)。
低炭素に関してはCO2(二酸化炭素)排出量の目標を設定して、環境貢献と環境負荷を合わせて排出量を削減する。工場で太陽光発電を実施することも施策の1つになる。現在までに稼働した5カ所のメガソーラーで年間に1万4000トンのCO2排出量を削減する効果が見込める。
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