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CO2の地中貯留を高効率に、大量貯留条件を判別する解析手法を開発エネルギー管理(2/2 ページ)

九州大学と米国ノートルダム大学の研究グループは、効率的にCO2を貯留できる貯留層の条件を明らかにする手法を開発したと発表した。大気中へのCO2排出を大幅に削減し、地球温暖化の防止策として期待されるCO2地中貯留の効率化や、安全性などに貢献できるという。

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CO2貯留の仕組みを明らかに

 研究グループでは先述した数値シミュレーション手法を活用して、さまざまな貯留層の条件において岩石間隙内のCO2の挙動を計算し、岩石間隙の中にCO2をどれくらい貯留できるかを調べた。その結果CO2を圧入する速度が小さい場合のほうが、最終的に貯留されるCO2の量が大きくなることなどが分かったという(図3)。このように開発した流体計算をさまざまな条件ごとに実施すれば、貯留層の条件に依存したCO2の貯留量や、CO2の流れやすさの定量的に推定につながる。


図3 圧入速度によるCO2の貯留量の比較。圧入速度が小さい(d)場合の方が貯留量が大きくなっている(クリックで拡大) 出典:九州大学

 さらに研究グループはCO2を効率的に貯留できる貯留層の判別につながる条件も発見した。50を超える異なった貯留層条件の下でCO2と水の挙動を計算した結果、CO2の貯留量(飽和度)は、キャピラリー数と水とCO2の粘性比の2つのパラメータで決定できることが判明したという。

 キャピラリー数とは流体の粘性係数、流速、表面張力から計算できるパラメータ。そしてこのキャピラリー数と粘性比は、貯留層の状態やCO2の圧入方法で決定されるため、今回開発いた手法を用いればCO2を効率的に貯留することのできる貯留層条件の判別も可能になる。また、安全なCO2貯留にも寄与する。

 今回の研究では2種類の岩石に対して数値シミュレーション手法を活用し、最適な貯留条件などの検証を行っている。研究グループでは今後、実際のCO2貯留サイトで取得したさまざまな岩石に対して今回開発した手法を適用し、効率的で安全なCO2の貯留に貢献していくとしている。

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