ポストFIT時代にどう立ち向かうのか、太陽光発電は「賢く運用」する時代に:エネルギー市場最前線(3/3 ページ)
普及が進む太陽光発電だが、買取価格の低下やメガソーラーの最適立地数の限界が見えてきた点など、将来的なビジネス面での厳しさが予測されている。転機を迎える太陽光発電ビジネスをどう転換するのか。1つのカギとなるのが「太陽光発電設備を賢く運用する」という視点だ。
自社の太陽光発電設備で実証
サンテックパワージャパンでは、メテオコントロールによるこれらの遠隔監視システムが実際にどれだけの効果を発揮するのかを証明するために、自社の太陽光発電システムに導入し、実証を進めている。
2015年10月に稼働した「サンテックパワー市川太陽光発電所」(兵庫県神崎郡市川町)と2016年2月に稼働した「サンテックパワー笠間市押辺太陽光発電所」(茨城県笠間市)において同年3月から遠隔監視を開始。さらに新たに開設した「サンテックパワージャパン那須太陽光発電所」(栃木県那須郡那須町)、「サンテックパワージャパン熊谷太陽光発電所」(埼玉県熊谷市)でも遠隔監視を開始している(図4)。「笠間と那須、熊谷の3つは法定点検なども含むO&M(運用とメンテナンス)のフルサービスを提供。これらの4つの太陽光発電所での実証を基に国内展開を進めていく」と米澤氏は語る。
O&Mサービスのみの提供も推進
サンテックパワージャパンではこのメテオコントロールのシステム提供とともに、O&Mサービスそのものの展開も行う方針だ。2016年にメテオコントロールのシステムで、金額ベースで10億円の販売を目指す他、O&Mサービス全体については「3年間で300MW」が目標だとしている。現状では太陽光発電ビジネスはまだまだ多くの案件が稼働しているが、数年後を見据えた場合、「建築・施工」中心から「運用」を重視する形へと移行すると見られている。
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