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東京電力のスマートメーター遅延が拡大、最大2カ月も先送りに電力供給サービス(1/2 ページ)

小売の全面自由化が始まって2週間が経過したにもかかわらず、東京電力のスマートメーターの設置状況が改善できていない。3月末の時点で17万台の設置が遅れたうえに、4月以降も対応が追いつかず、半年後の9月に解消できる見通しだ。その間に契約を変更した場合には最大で2カ月の遅れが生じる。

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既報1(3月15日):「東京電力が大失態、スマートメーターの設置に大幅な遅れ」

既報2(3月25日):「東京電力のスマートメーターさらに遅れる、4月1日に間に合わないケース多発も」

 あまりにもひどい状況が続いている。東京電力の管内でスマートメーターの設置が大幅に遅れて、契約を変更した需要家の多くが本来のサービスを受けられずにいる問題だ。事態を重く見た経済産業省が2月29日、3月22日、4月8日と3回にわたって東京電力に報告を求めたが、そのたびに遅延の状況が拡大している。

 新たに4月1日に発足した東京電力パワーグリッド(東京電力の送配電部門が分社)が4月12日に経済産業省に最新の状況を報告した。その内容を2日後の14日になってウェブサイトで公表する遅い対応に、社内の混乱ぶりが見てとれる。

 報告によると、3月17日までに契約変更が成立していた38万5000件のうち、3月31日までにスマートメーターの設置を完了できたのは21万4000件にとどまった(図1)。残る17万1000件の設置は4月1日以降にずれ込み、需要家と小売電気事業者の予定を狂わせる状況が生じている。


図1 スマートメーターの設置状況(4月12日時点)。出典:東京電力パワーグリッド

 経済産業省は4月1日から始まった小売の全面自由化に先だって、電力会社に対しては需要家の契約変更からスマートメーターの設置まで原則2週間以内で済ませるように要請していた。これに従うと3月17日までに契約を変更すれば4月1日の全面自由化に間に合うはずだった。

 しかし東京電力が契約変更に伴って必要なスマートメーターの設置を3月に完了できたのは合計で18万6000台に過ぎない(図1参照)。第1回目の報告(3月2日時点)で計画していた23万台から4万4000台も少ない状態だ(図2)。設置工事の人員を大幅に増強したにもかかわらず、1カ月前の計画からさらに遅れている。


図2 スマートメーターの設置計画(3月2日時点)。出典:東京電力

 その理由の1つを東京電力パワーグリッドは報告書の中で次のように説明している。「工事力増強の結果、当社の1支社エリアに複数の工事会社・直営(当社社員)が参入したことにより、上流工程である工事依頼業務が輻輳し、人海戦術で対応したことによる工事依頼の重複や遅延等が発生した」。輻輳(ふくそう)は対象物が1カ所に集中して混雑することを意味している。

 もともと東京電力のスマートメーターの設置が大幅に遅れたきっかけは、各支社が2015年12月までに工事会社に対して適切な依頼を出しておらず、作業員に大量の欠員が生じたことによる。支社の工事管理の甘さが原因だったが、本質的な問題は解消できていない。今後も計画どおりにスマートメーターを設置できるか不安が残る。たとえ順調に設置工事が進んだとしても、遅れを解消できるのは半年後の9月になる見込みだ。

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