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下水バイオガスが2300世帯分の電力に、沖縄で民設民営方式の発電事業:自然エネルギー(2/2 ページ)
沖縄県の2カ所の下水処理場でバイオガス発電事業が始まった。下水の処理で発生するバイオガスを燃料として活用し約2300世帯分の電力を発電する。民設民営方式のプロジェクトで、沖縄県にと発電事業者のどちらにもメリットがあるプロジェクトだ。
沖縄県と民間事業者の両者にメリット
今回のバイオガス発電事業は沖縄県と民間の発電事業者が共同で進めている。そして民設民営方式のプロジェクトだ。これは発電設備の建設や維持管理は民間事業者が行うという方式で、電設備の所有権は民間事業者にある(図3)。
今回事業では宜野湾浄化センターの発電事業を東芝、日水コン、月島機械、月島テクノメンテサービス、沖縄小堀電気が共同で設立した「かりゆしバイオマスパワー」が事業を担当する。具志川浄化センターでは西原環境おきなわ、沖縄工設、しんこうエンジニアリング、安謝橋電気が共同設立したNOSAバイオエナジーが担う。
一方、各処理場を所有する沖縄県は、上記の民間事業者に対して施設内の土地と燃料となるバイオガスを有償提供する。県側は既存の施設を活用して発電設備の建設や維持管理などの大きなコストやリスクを背負うことなく収益を得ることができ、下水道施設の維持管理費に充当できる。
民間発電事業者側は固定買取価格制度を活用して発電した電力を売電し、そこから沖縄県に支払うバイオガスの購入費や土地貸借料などを差し引いた分が利益となる。今回の事業では1kWh(キロワット時)当たり税別39円で20年間にわたって売電する。計画通り発電できれば、年間の売電金額は2カ所の合計で年間に3億2000万円程度になる見込みだ。
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