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太陽光発電の出力制御量を最小に抑える、東北電力が予測システムの運用開始:エネルギー管理(2/2 ページ)
東北電力は管内の太陽光発電による総出力を30分ごとに更新できるシステムを開発した。5キロメートル四方の単位で日射量を予測して出力を計算する。電力の需要が小さい日には送配電網に接続している発電設備の出力を制御する必要性が生じるが、予測精度を高めて制御量を少なく抑える。
電力会社は補償なしで出力を制御できる
東北電力の管内では太陽光発電設備を送配電網に接続する規模が急速に拡大している。現在のところ東北電力は太陽光発電設備の接続可能量を552万kW(キロワット)に制限しているが、2016年2月末時点で239万kWを接続済みだ(図4)。
当面は余裕があるものの、すでに接続契約を完了した承諾済みの太陽光発電設備を加えると673万kWに達して接続可能量を上回る。接続可能量を超えてから申し込んだ発電設備に対しては、電力会社が必要に応じて無制限・無保証で出力を制御できる。
これまでに九州電力が鹿児島県の種子島で数回にわたって太陽光発電設備の出力制御を実施している(図5)。ただし前日時点の需給予測と当日の実績の差については公表していない。実際に出力制御が必要だったかどうかは不明なままだ。電力会社が太陽光発電の予測精度を高めることは、地域の再生可能エネルギーの導入量を最適に増やしていくうえで極めて重要になる。
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