災害時に水素とお湯をクルマで運べる、東芝「H2One」に車載モデル:蓄電・発電機器
東芝は自立型水素エネルギー供給システム「H2One」の「車載モデル」を発表した。従来の定置型タイプからさらに小型化を図った。災害時などに必要な場所に対して電気や湯を供給できるを電源車として活用できる。
東芝が発表した「H2One」車載モデルは、4トントラック2台で構成する。トラックには水素製造装置、水素貯蔵タンク、蓄電池、純水素燃料電池を搭載している。水素貯蔵タンクには、水素を高密度で貯蔵できる水素吸蔵合金を採用。従来のH2OneのBCP(事業継続計画)モデルの貯蔵能力を維持しながらも小型化することで、機動性を高めた(図1)。
災害時には被災地に短時間で移動し、電気と湯の供給を行う電源車として活用することができる。また、騒音や振動がほとんど発生しない純水素燃料電池で発電するため、夜間の使用にも適している。水素貯蔵量は250Nm3(ノルマル立方メートル)。発電出力は19kW(キロワット)で、電力貯蔵量は422KWh(キロワット時)。
H2Oneは同社独自のエネルギーマネジメントシステム「H2EMS」により、再生エネルギーと水素を活用して電力を安定的に供給できるCO2フリーの自立型水素エネルギー供給システム。現在、定置型ではBCPモデル、リゾートモデル、離島モデル、事業所モデルなど幅広い用途で展開している。
BCPモデルは横浜市港湾局やJR東日本から受注があり、リゾートモデルはハウステンボス内のホテルに納入し既に運転を開始している。今回、H2Oneのラインアップに車載モデルを加えることでさらに広範な電力供給のニーズに対応していく。
東芝は今後も水素社会の実現を目指して水素の製造、貯蔵、利活用までそれぞれのシーンで効率的なエネルギー供給に貢献できる水素関連技術・製品の開発を進める方針だ。
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