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仮想発電所により需給変動を抑制する実証、九州で開始:電力供給サービス
九州電力はこのほど国の「バーチャルパワープラント構築実証事業費補助金(大型蓄電システムによる需給バランス改善実証事業)」の交付決定通知を受けた。これに伴い2016年度、国の補助事業として各種の実証事業を実施する。
九州電力は、電力の安定供給を前提に、再生可能エネルギーを最大限受け入れるための取組みを行っている。その一つとして、2015年4月に国の「大容量蓄電システム需給バランス改善実証事業」を受託し、世界最大級の大容量蓄電システムを備えた豊前蓄電池変電所を設置(2016年3月3日運開)。需給バランスの改善、系統電圧制御の検証の実証試験を一部実施してきた(図1)。2016年度は、当初、実証試験を独自研究として継続実施する方針だったが、同実証事業費補助金の公募が開始されたことからあらため応募したところ、今回交付決定通知を受けた。
バーチャルパワープラント(仮想発電所)とは、多くの小規模発電所や電力需要抑制システムを仮想的に1つの発電所のようにまとめて管理・運営する仕組みのことを指す。小規模の発電設備の需給変動や発電トラブルなどを、グループ化することで最適化し、需給抑制や変動抑制などを行いやすくするという狙いで研究が進められている。
今回の実証事業では、豊前蓄電池変電所の大容量蓄電システムを活用し、需給バランスの改善、系統電圧制御の検証継続に加え、周波数調整、蓄電システムのエネルギーロス最小化の検証を実施する。実施期間は2016年4月27日(交付決定日)から2017年2月28日(予定)までである。
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