ダイムラーが定置型蓄電池に参入、電力網内に設置する蓄電システムを展開:蓄電・発電機器
ドイツのDaimler(ダイムラー)の100%子会社であるDeutsche ACCUmotiveは、定置型蓄電池市場に参入すると発表した。定置型蓄電システムを産業、個人向けに展開していく。
参入する定置型蓄電池についてはメルセデス・ベンツのエネルギー貯蔵ユニットをモジュール化して活用する。個人向けの2.5kW(キロワット)のバッテリーモジュールと工業用の5.9kWのモジュールを展開する。家庭向けでは、8個のバッテリーモジュールを組み合わせ、20kWh(キロワット時)の電力容量を実現可能だとしている。リチウムイオンセルについてはドイツ国内で生産するという。システムについては、ニーズに応じて容量などを変更することが可能で、2015年6月から受注を始め同年秋の納入を予定している(図1)。
電力網の負荷軽減を行う蓄電システムを展開
既に最初の産業規模のリチウムイオン電池ユニットは電力網上に設置されており、ドイツのMobility HouseとGETEC Energieをパートナーとして運用を開始している。これら2社の合弁会社であるCoulombを通してドイツの電力網とのエネルギー交換が行われている。電力網の安定化に向けて、カーメンツ(Kamenz)とザクセン(Saxony)の両地域に蓄電システムを設置しており、電力負荷の平準化に貢献している。これらの蓄電システムはメルセデス・ベンツの蓄電モジュールを96個つなぎ合わせたもので、電力容量は500kWh。今後は段階的に3000kWhまで拡張可能だとしている。
また個人顧客との取引に付いてはEnBWと協業することを計画しているという。ダイムラーでは、ドイツおよびその他の国々でのパートナーをさらに拡充していく方針を示している。
Deutsche ACCUmotiveは2009年に設立された、リチウムイオン電池技術の開発と製造を行う企業。ダイムラーの「メルセデス・ベンツ」ブランドや「スマート」ブランド、ハイブリッド自動車などに車載用リチウムイオン電池を展開してきた。同社では2014年12月にリチウムイオン電池の生産能力増強を発表するなど、生産数量拡大に取り組んできており、車載向け以外の用途にも進出を行うことで販売先を確保し、需給の安定化を図る方針だ(関連記事)。
電気自動車(EV)を展開する自動車メーカーでは米国のテスラが2015年4月に車載用蓄電池だけでなく住宅用蓄電池市場に参入すると発表したばかり(関連記事)。今後同様の動きが広がるものと見られている。
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