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日本海に洋上風力発電が広がる未来、地熱とバイオマスでも電力を増やすエネルギー列島2016年版(5)秋田(4/4 ページ)

秋田県の沖合3カ所で洋上風力発電所の建設計画が進んでいる。最大で150基以上の大型風車を日本海に展開する。陸上でも風力発電が拡大する一方、地熱やバイオマス発電の開発プロジェクトが活発になってきた。太陽光と小水力発電を含めて再生可能エネルギーの導入量を10年間で倍増させる。

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小水力発電と太陽光発電も着実に拡大

 秋田県内では太陽光からバイオマスまで、再生可能エネルギーの導入が活発に進んでいる。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備の規模を見ると、地熱は全国で1位、風力は2位だ。中小水力も8位に入る。太陽光は45位とランクは低いが、発電能力では風力に次いで大きい(図13)。


図13 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

 小水力発電では内陸部の上小阿仁村(かみこあにむら)にある「萩形(はぎなり)発電所」が最も新しい。発電能力は450kWで2014年3月に稼働した。県営の「萩形ダム」から下流の自然環境を維持するために放流する水を使って発電する。

 ダムの直下に建設した発電所では水流の落差が47メートルにもなる。最大で毎秒1.2立方メートルの水量を水車発電機に取り込む方式だ(図14)。落差が大きい場合に適した渦巻き構造のフランシス水車を採用した。年間の発電量は193万kWhになり、540世帯分の電力を供給できる。


図14 「萩形発電所」の外観(上)、水車発電機(下)。出典:秋田県産業労働部

 秋田県には豪雪地帯が広がっているが、内陸部に比べると沿岸部は降雪量が少ない。年間を通じて日射量を確保しやすい沿岸部を中心に太陽光発電の導入事例が増えてきた。積極的に取り組んでいるのがJR東日本(東日本旅客鉄道)で、沿岸部を走る鉄道に隣接して所有する3カ所の遊休地でメガソーラーを運転中だ。

 最も新しい「秋田泉太陽電池発電所」は線路を利用した珍しいメガソーラーである(図15)。列車を入れ替えるための操車場があった場所で、2万5000平方メートルの敷地内に線路が何本も敷かれている。平らで直線状に延びる線路の上に架台を作って太陽光パネルを設置した。まだ雪が残る2016年3月に運転を開始したところだ。


図15 「秋田泉太陽電池発電所」の太陽光パネル設置状況(上)、設置場所(下)。出典:JR東日本

 発電能力は1.3MWで、年間の発電量は170万kWhを見込んでいる。このほかに運転中の2カ所のメガソーラーを加えると合計で1100世帯分の電力になる。発電した電力は固定価格買取制度で売電するが、メガソーラーの周辺に街路灯も設置した。停電時でも点灯して地域の防災に役立てる狙いだ。

*この記事の電子ブックレットをダウンロードへ

2015年版(5)秋田:「風力発電で全国トップを走り、バイオマスと水素でも電力を作る」

2014年版(5)秋田:「日本海沿岸に100基を超える風力発電、買取制度では全国トップ」

2013年版(5)秋田:「巨大な干拓地で風力から太陽光まで、潜在するバイオマスと地熱も豊富」

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