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集光型の太陽光発電でメガソーラー、日本の2倍の日射量があるモロッコ自然エネルギー(2/2 ページ)

北アフリカのモロッコで集光型の太陽光発電システムを使ってメガソーラーを建設するプロジェクトが始まる。太陽光を追尾しながらレンズで集光することにより、標準的な太陽電池と比べて2倍以上の発電効率になる。住友電気工業が開発したシステムで、2016年11月に運転を開始する予定だ。

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従来方式と比べて2.5倍の発電効率

 モロッコで集光型の太陽光発電システムに取り組む住友電気工業は日本国内でも実証例を増やしている。最も先進的な事例は宮崎大学で2014年から稼働中のシステムだ。64枚のモジュールを搭載したシステム2基を使って15kW以上の発電能力がある(図5)。


図5 宮崎大学に設置した集光型の太陽光発電システム。出典:宮崎大学、東京大学

 このシステムでは太陽光のエネルギーから電気エネルギーに変換する効率を31%に高めることができた。宮崎大学は太陽光で発電した電力を使って水素を製造する実験にも取り組んでいて、太陽光から水素エネルギーの変換効率では世界最高の24.4%を達成している(図6)。


図6 水素製造システム(上)、集光型の太陽電池(下)。出典:宮崎大学、東京大学

 集光型の太陽光発電システムはモジュールを構成する太陽電池の表面にレンズを搭載して発電量を増やせる点が特徴だ。追尾式の架台と組み合わせることによって、朝や夕方でも太陽光を垂直に受けて効率よく発電できる(図7)。電気を生み出す発電素子が温度の影響を受けにくいため、日射量が多くて気温の高い地域でも発電量が落ちにくいメリットがある。


図7 集光型の太陽光発電システムの構成要素。出典:住友電気工業

 住友電気工業は2013年にモロッコ北部のカサブランカ(Casablanca)市にあるグループ企業の施設内で、追尾式による集光型の太陽光発電システムと標準的な多結晶シリコン太陽電池の発電効率を比較している。その時には面積あたりの1日の発電量に約2倍の差があった(図8)。


図8 集光型太陽光発電(CPV)と多結晶シリコン太陽電池の出力比較。CPV:Concentrating Photo Voltaic。kW/m2:キロワット/平方メートル。出典:住友電気工業

 2015年のワルザザート市の実証実験では太陽電池モジュールの改善や砂塵防止対策を実施したことによって、面積あたりの発電量は多結晶シリコン太陽電池の約2.5倍に上昇している。1日あたりの日射量が7.9kWh/m2の状態で、発電量は平均で2.27kWh/m2に達した。発電効率は29%である。一方の多結晶シリコン太陽電池は平均0.91kWh/m2で発電効率は12%だった。

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