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地熱でトマトを作る北海道・壮瞥町、電力会社2社が発電に向けて資源調査:自然エネルギー(2/2 ページ)
北海道でも有数の火山地帯にある壮瞥町で地熱資源の開発プロジェクトが本格的に始まる。北海道電力と九州電力が共同で発電事業に向けた地熱資源の調査に乗り出す。2016年度内に地表調査を実施した後に、2017年度から掘削調査を進めて発電事業の可能性を判断する計画だ。
運転開始は2020年代の後半に
地熱発電所を建設するためには、地表調査と掘削調査を実施して発電に必要な資源量を確認してから工事に着手する流れが一般的だ(図5)。発電能力が10MW(メガワット)以上の場合には環境影響評価も義務づけられている。地表調査から発電所の運転開始まで10年以上かかるケースが多い。一連の調査と環境影響評価が順調に進めば、2020年代の後半には新しい地熱発電所が壮瞥町で運転を開始する。
火山国の日本は地熱の資源量が世界で3番目に多く、北海道でも広範囲に地熱資源が分布している。特に地熱資源が集中しているのは南西部で、そのうちの1つが壮瞥町を含む洞爺湖(とうやこ)の周辺だ(図6)。温泉地として有名な登別(のぼりべつ)も壮瞥町に隣接している。
ところが現在のところ北海道内で稼働している地熱発電所は1カ所しかない。北海道電力が南部の森町で1982年に運転を開始した「森発電所」だけである(図7)。森発電所は活火山の駒ケ岳の近くに立地しているが、国立・国定公園に含まれていないために建設が可能になった。
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