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浮体式の洋上風力4基目が福島沖へ、発電能力5MWで年内に運転開始自然エネルギー(1/2 ページ)

福島沖で進む世界初の浮体式による洋上風力発電プロジェクトの実証設備が2016年内に完成する見通しになった。最後の4基目になる発電能力5MWの「ふくしま浜風」の浮体部分の組み立てが終わり、7月から現地で設置作業に入る予定だ。直径126メートルの大型風車が洋上から電力を供給する。

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 大阪府・堺市にある日立造船の工場で「ふくしま浜風」の浮体部分が完成して、5月2日から兵庫県・淡路島の沖合で風車の搭載工事が始まっている(図1)。発電設備の建設を担当するジャパン マリンユナイテッド6月中に搭載工事を完了して7月に福島沖へ曳航する予定だ。現地で設置工事・試運転を経て発電を開始する。順調に進めば12月までに実証運転に入り、洋上における発電量や安全性の評価に着手できる。


図1 発電能力5MWの「ふくしま浜風」の浮体部分。出典:ジャパン マリンユナイテッド

 東日本大震災からの復興を目指して2011年度に始まった「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」は、世界で初めて浮体式による発電設備と変電設備を洋上に設置して陸上まで電力を供給する試みだ。すでに2基の発電設備と変電設備が沖合20キロメートルの洋上で運転を開始した(図2)。変電設備から海底ケーブルを通じて福島県内まで送電を続けている。


図2 福島沖で運転中の浮体式による洋上風力発電設備。中央が7MWの「ふくしま新風」、右後方が2MWの「ふくしま未来」、左後方が変電設備の「ふくしま絆」。出典:福島洋上風力コンソーシアム

 おおむね計画通りに進んできたプロジェクトだが、3基目の発電設備になる「ふくしま浜風」だけは当初の予定から大幅に遅れていた。もともと7MWの発電能力になる予定だったが途中で5MWに変更。ようやく準備が整って年内に運転を開始できる見通しになった。プロジェクトを推進する経済産業省は2016年度に40億円の予算を投入して実証研究を続ける方針だ。

 浮体式の洋上風力では発電設備が風や波の影響を受けて揺れることが最大の課題で、揺れを抑えるために浮体部分の構造を最適化する必要がある。福島沖の実証研究プロジェクトでは3種類の構造を試して発電量や安全性などを検証することになっている。その中で「ふくしま浜風」は「アドバンストスパー」と呼ぶ浮体構造を採用する(図3)。


図3 「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の設備構成(上)、配置イメージ(下)。出典:福島洋上風力コンソーシアム
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