世界最大級の電力用営業料金システム、1年6カ月を経て無事稼働:電力供給サービス
SAPジャパンが、東京電力エナジーパートナーに電力小売自由化に対応した新営業料金システムとして導入したSAPの公益事業者向けソリューション「SAP for Utilities」がこのほど稼働開始した。
東京電力エナジーパートナーは、2016年4月からホールディングカンパニー制に移行した東京電力グループで小売電気事業を担当している。電力システム改革による電力小売全面自由化に向け、小売電気事業の基幹システムとなる営業料金システムとして2014年に同ソリューションを採用(関連記事)し、1年6カ月で導入を完了した。
このシステムの導入により、電力自由化後のさまざまな顧客のニーズに応じることを目指した迅速で柔軟な料金の設定、スマートメーターを活用した料金メニューおよび新サービスの提供などを実現する(関連記事)(図1)。
SAPは、世界最大級となる東京電力エナジーパートナーの営業料金システムの導入を最重要プロジェクトと位置付けている。SAPソリューションの導入から稼働、運用、アップグレードまで全ての業務システムのライフサイクルをきめ細かく把握。フルサポートするプレミアムサポートプログラムのSAP Max Attentionを提供。顧客管理から請求書発行まで一連の電力小売業務における日本市場固有要件の標準機能への取込みを実施中だ。
SAPは、全世界で約4800社の電力やガスなどの公益事業者に対してさまざまなソリューションを提案している。今回の対象となる料金計算システム領域では、全世界で800社以上に「SAP for Utilities」を中心としたソリューションを提供しており、世界各国における電力小売自由化や発送電分離への対応を支援に力を注いでいる。
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