東京ガスの低圧電力契約件数が30万件を突破、一方で認知度はまだ30%:電力供給サービス
東京ガスが家庭向けに提供する電力の申し込みが30万件を突破した。一方で同社の家庭向け電力プラン「ずっともプラン」の認知状況は約30%にとどまり、提携先の強化や告知活動の強化など、取り組みを拡大する方針を示している。
2016年4月1日から始まった電力小売全面自由化により、低圧電力のスイッチングが進んでいる。電力広域的運営推進機関によると同年4月30日時点でのスイッチング支援システム状況は全国で81万9500件となっている。最も多いのが東京電力管内でスイッチチングが51万8100件、情報紹介では190万4600件となっている(図1)。
全国で既存電力会社から切り替えるスイッチングが進む中で、順調に契約数を伸ばしているのが東京ガスである。東京ガスは2016年5月9日時点の電力の申込件数が30万件を突破したと発表した。電力小売全面自由化がスタートした後ということもあり、伸びのペースとしては前回発表時に比べて緩んだものの、5万8600件増えた(図2)。
一方で、東京ガスの家庭向け電力プランである「ずっともプラン」の認知度は27.1%にとどまっており、十分に知られているとはいえない状況である(図3)。
認知度向上に向けて、東京ガスではより積極的なプロモーションを推進する他、提携先の拡大に取り組む。新たに低圧電力の販売に関して、館林ガス(需要家数約8000件)、秩父ガス(同約3000件)、武蔵野ガス(同約6000件)の3社と業務提携し、提携事業者とともに電力販売の拡大を進めていく。これにより東京ガスが提携している都市ガス卸供給先のガス事業者は18社となった。さらに、LPガス販売事業者27社との提携もあるため、提携先の対象需要家件数の合計は87万9000件となっている。
加えて、提携プロバイダー先の拡大も行い、「東京ガストリプル割」でニフティと業務提携に合意し2016年度夏ごろからサービスを開始する。
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