真夏の作業現場を襲う熱中症、ウェアラブル端末で防ぐ:IT活用
真夏に行う電力設備の設置や点検保守作業では、熱中症に気をつけたい。富士通と関電工は現場作業員の熱中症対策にウェアラブル端末を活用する実証実験を開始する。アームバンド型の端末を各作業員が装着し、熱ストレスなどを遠隔地でも把握できるようにして熱中症などの防止に役立てる。
富士通と富士通ネットワークソリューションズは関電工と共同で、ウェアラブル端末を用いて現場作業員の健康状態などを遠隔から把握する実証実験を行うと発表した。気温が上昇する2016年5〜8月の期間に実施し、夏場の熱中症対策への効果を検証していく。人や物の状態・状況・周囲の環境をセンシングし、データ提供を行うIoTパッケージ「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE」の検証用セット「ユビキタスウェア パイロットパック」を使用する(図1)。
関電工の電力設備の設置および点検・保守を行う作業現場では、熱中症の予防対策として現場管理者の教育をはじめ、水分補給・休憩指示の徹底や小型ファンがついた空調服の着用といった熱中症対策用品の現場配備などを行ってきた。今回の実証実験はさらに効果的な熱中症対策の検討に向けて実施するものだ。
実証ではセンシング技術を活用することで作業員が感じる熱ストレス、身体負荷、活動量などを把握することが可能になる。簡単に腕に装着でき作業に影響しない「ユビキタスウェア バイタルセンシングバンド」を活用する。この装着デバイスによって、作業員ごとの健康状態を把握することが可能になる(図2)。
富士通のユビキタスウェア パイロットパックには、ユビキタスウェア バイタルセンシングバンド、通信ゲートウェイとして作業員に配布するスマートフォン、データ活用クラウド基盤と活用技術(「FUJITSU Cloud Service IoT Platform」)、センサーアルゴリズム、データ可視化アプリケーションなどが含まれる。システム設計や機器の設置や専門家による技術相談にも富士通側で対応する。
今回の実証実験では同検証用セットを用い、富士通ネットワークソリューションズが現場の安全確保や見守りサービス向けに開発中のソリューションを活用していく。富士通グループでは、実証実験を通じ、厳しい環境で働く現場作業員の安全性向上を支援するとともに、他の現場への展開についても提案していく方針だ。
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