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その水素料金は適切か、経産省が適正化へ計量規格を制定蓄電・発電機器(2/2 ページ)

経済産業省は水素燃料の取引における適正計量の実現を目的に、水素の計量システムに関する日本工業規格(JIS)を制定した。水素燃料の計量精度に関して等級を定めるなど計量器メーカーの技術開発を促進するものとなっている。将来のさらなる燃料電池車などの普及を見据え、消費者保護の観点からも適切な水素計量の実現を推進する。

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脱圧量の取り扱い方法を決定

 FCVに充填する水素は高圧の状態である。充填後は安全上の観点からホースや配管などに残った水素を待機中に放出し、圧力を下げている。この際に放散した水素(脱圧量)は、実際にはFCVに充填されていないが、現在の計量システムでは充填したものと換算されており、その取扱が課題となっていた。現在整備されている計量システムにおける脱圧量は20〜50グラム程度とされている。

 今回制定した規格では、あらかじめホースや配管などの内容積から算出した値、もしくはあらかじめ放散量を計量した値のいずれかの最大値を脱圧量とし計量システムに入力するという方法を定めた。充填の際はその脱圧量を超えた後に、システムの計測値が増えていくことになる。

評価はモジュールで、コスト削減を促進

 通常、計量器の性能評価はシステム全体を対象に行う。しかし今回の規格では、大規模かつ高価な試験設備を必要とせず、アッセンブリ(組み立て)メーカーの部品調達を容易にすることを目的に、モジュール評価手法を採用した。

 同手法ではまず計量システムを部品または要素ごとに分割する。次に全体で許容されている値から、それぞれの部品の寄与度を考慮し、部品ごとの許容値を評価していくというものである。水素ステーションの設置コストが大きな課題となる中で、性能評価を行いやすくし、水素燃料計量システムのコスト削減を促進する狙いがある。

日本発の国際勧告文書の発行も視野に

 なお、経済産業省は2016年度から3年間で国際標準化研究開発委託事業を実施する。同事業は今回制定したJIS規格にもとづき、より詳細な水素計量性能の評価方法を確立するための実証データの取得、先進各国の研究機関やメーカーとの最新の研究開発状況に関する意見交換を目的としたものだ。

 こうした取り組みを経て、日本が提案するOIML(International Organization of Legal Metrology:国際法定計量機関)の国際勧告文書としての計画を目指す。OIMLは条約にもとづき、各国の計量行政当局(日本からは経済産業省が参画)が加盟する国際組織。国際規格である国際勧告文書(R文書)などを発行している。

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