住友林業が再生可能エネルギー事業を強化、レノバに出資:蓄電・発電機器
住友林業は再生可能エネルギー事業強化の方針を進めている。その一環として新たに再生可能エネルギー専業のレノバに出資し、協業により事業強化を図る。
住友林業とレノバは、レノバが第三者割当増資により発行する普通株式を、住友林業が引き受けることで合意し、2016年5月24日付で株式引受契約および再生可能エネルギー事業にかかる業務提携契約を締結した。出資額は約10億円となる。
住友林業グループは、2011年2月、神奈川県川崎市において、他社との共同出資による木質バイオマス発電事業(33メガワット)を開始し、現在、営業運転開始の準備を進めている紋別(50メガワット、2016年12月稼働予定)、苫小牧(5.8メガワット、同年12月稼働予定)、八戸(12.4メガワット、2017年12月稼働予定)を合わせると、約100メガワット規模の発電事業に出資参画している。今後は、バイオマスのみならず、風力・地熱発電事業への進出も視野に入れ、200メガワット規模まで再生可能エネルギー事業を拡大する方針を定めており、今回のレノバ社の第三者割当増資引受は、この取り組みの一環となる(図1)。
一方、レノバは、再生可能エネルギー発電所(メガソーラー、風力、バイオマスおよび地熱)を開発・運営する独立系企業。自社の発電所開発実績に加え、累計1000件以上の環境コンサルティングの実績を持つ。2016年4月末時点で、500億円を超える連結総資産を保有しメガソーラーの開発では国内で豊富な実績(合計189メガワット)を持つ(関連記事)。レノバではさらに今後、風力やバイオマス、地熱発電事業の開発を強化するとしており、再生可能エネルギー開発のリーディングカンパニーとしてさらなる事業拡大を図る方針を示している(図2)。
今回の業務提携によって、両社は、再生可能エネルギー事業やバイオマス燃料開発を国内で展開する他、海外市場でも積極的に事業拡大を図る。また山間部の風力発電開発においては、発電施設を建設するために必要となる専用道を森林施業でも有効利用するなど、周辺山林の一体開発を念頭に置いた先進的なビジネスモデルの構築などにも取り組んでいく。
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