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北海道初のFIT活用下水汚泥バイオガス発電事業が始動、民設民営の下水処理場で:自然エネルギー
産業機器メーカーの月島機械は北海道室蘭市と締結した「蘭東下水処理場消化ガス発電事業」の調印に基づく発電設備を建設し、このほど発電を開始した。
月島機械と北海道室蘭市が開始した「蘭東下水処理場消化ガス発電事業」は、民間の資金とノウハウを活用した民設民営方式による下水処理場での消化ガス発電事業である。月島機械が自己資金で発電設備を建設し、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づく固定価格買取制度(FIT)を活用し、20年間の発電事業を行う。なお、事業は北海道初のFITを活用した下水汚泥消化ガス発電事業となるという(図1)。
発電所は蘭東下水処理場(室蘭市寿町)内に開設した。汚泥から取り出した消化ガスを燃料として消化ガス発電設備で発電する。今回導入した同発電設備の容量は103kW(ガスエンジン103kW×1台)。年間発電量は約420000kWh(一般家庭 約120世帯相当)を見込む。発電事業期間は2016年5月〜2036年3月(20年間)を予定する。
月島機械は下水処理場における汚泥処理に強みを持ち、汚泥消化設備、ガス貯留設備および発電利用設備の豊富な実績を誇る。また、上下水道におけるPFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)・DBO(デザイン・ビルド・オペレイト)事業をはじめとした「ライフサイクルビジネス」を積極的に展開し、長期事業運営に必要な豊富な実績とノウハウを培ってきた。今回の事業でもこれらを最大限に生かし、効率的で安定した発電事業の運営を行う。
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