石油価格下落でも「過去最高」の伸び、再生エネが強い:世界の再生可能エネルギー2016(1)(4/4 ページ)
再生可能エネルギーに関する国際ネットワークREN21は、2015年の再生可能エネルギー新規導入量が過去最高の伸びを示したと発表した。種類別や地域別の状況を紹介する。日本はどのような位置にあるだろうか。
1人当たりの導入量ではドイツが強い
太陽光や水力など、各種の再生可能エネルギーはどの国に集中しているのだろうか。
図7は2015年末の累積導入量を示している。首位の列を眺めると、中国が新規導入量だけでなく、累積導入量でも再生可能エネルギーの主導国であることが理解できる。水力を含む含まないにかかわらず、導入量が最も多く、水力発電量(Hydropower generation)も最大だ。
太陽光、風力、太陽熱、地熱で首位にある他、熱利用も進んでいる。太陽熱で温水を作るソーラーシステム(Solar water heating collector)や地熱(Geothermal heat)を直接冷暖房などに用いる用途(ヒートポンプを含まない)でも首位にある。
人口当たりの導入量が多いのは、3行目にある通り、デンマークやドイツ、スウェーデンなど欧州諸国だ。
日本は水力を含まない導入量で世界第4位、バイオマス(5位)、太陽光(3位、GDP当たりで4位)、地熱(熱利用で3位)などが目立つ。
再生可能エネルギーは組み合わせて使う
最後に主要地域と総導入量上位7カ国について、再生可能エネルギーの種類ごとに容量を数値で示す(図8)。
中国は人口が14億人と多いため、人口1人当たりの導入量では上位7カ国中では第6位だ(最下段)。首位はドイツ(1.1kW/人)。次いでスペイン、イタリア、米国、日本、中国、インドである。
ドイツは風力(45GW)と太陽光(40GW)のバランスがとれている。季節要因から、それぞれが補い合うような出力となるため、系統の安定性にも役立っているという。
スペインは風力と水力、イタリアは太陽光と水力というように国ごとに特色がある。日本はイタリアと似た傾向を示し、太陽光と水力という組み合わせだ。
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