洋上風力で日本初の認定、港湾拡張で「アジアの風力拠拠点計画」が前進:自然エネルギー(2/2 ページ)
福岡県北九州市は風況にめぐまれた北九州港の周辺区域を「風力発電関連産業のアジア総合拠点」として発展させるプロジェクトを推進している。この取り組みの一環として、国土交通省に洋上風力発電の導入拡大に向け申請していた港湾区域の拡張が認められた。洋上風力発電の導入に関する港湾区域の変更事案は日本初のケースだ。
秋に事業者を募集、大規模な風力産業の集積地へ
響灘地区は北九州港の港湾区域の中でも特に風況にめぐまれた地域だ。NEDOの調査によれば、地上高70メートルの平均風速は毎秒6メートル以上である。北九州市ではこうした恵まれた風況に加え、広大な産業用地、充実した港湾機能といった響灘地区の利点を生かし、同地区を中心とした「風力発電関連産業のアジア総合拠点」を構築するプロジェクトを推進している。
洋上風力を含めた風力発電設備そのものの導入だけでなく、部品やメンテナンス、訓練施設、物流センターなどの関連産業も集積させることで、アジアの中心となる大規模な風力発電産業を築こうという壮大なプロジェクトである(図3)。
そして、同プロジェクトの中で重要な施策として位置付けられているのが洋上風力発電の導入拡大だ。北九州市ではこれまで海域利用者や関係機関などで構成する調整会議を設置し、響灘地区に洋上風力発電施設を設置可能なエリアの選定を進めてきた。
直近の取り組みでは、洋上風力発電の設置可能なエリアを「再生可能エネルギー源を利活用する区域」として設定し、2016年8月以降をめどに発電事業者の公募を開始する。今回、国土交通省に港湾拡張が認められたことで、設置可能エリアが固まったことになる。公募する事業水域やその詳細なども同年8月以降に発表される予定だ。
現在の予定では2016年秋ごろに発電事業者の選定と公表を行う計画で、その後2020年度までをめどに環境アセスメントを実施する。発電設備の設置工事が始まるのは2021年度中となる予定だ。
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