固定価格買取制度のルール改正、確定した項目・未確定の検討課題:自然エネルギー(3/3 ページ)
2017年度から改正する固定価格買取制度だが、すでに新しいルールが確定した項目もあれば、概要だけ決まって詳細が未確定の項目も残っている。発電設備の新認定制度や買取対象の電力供給方法などは確定した。一方で太陽光発電の入札制を含めて買取価格の決定方法は今後の検討課題だ。
買い取った「FIT電気」は市場経由で供給
認定制度の改正のほかに、FITの認定を受けた発電設備の電力(FIT電気)を買い取る仕組みも抜本的に変わる。従来は電力会社を含めて小売電気事業者がFIT電気の買取義務を負っていたが、法改正後は送配電事業者(電力会社の送配電部門)が買い取る形になる(図5)。
さらに送配電事業者が買い取ったFIT電気の供給方法も規定する。原則として卸電力取引市場に引き渡し、市場を通じて小売電気事業者がFIT電気を買い付ける方法だ(図5の1項)。ただし発電事業者と小売電気事業者のあいだで個別契約を結んだ場合には、市場を経由しないで小売電気事業者にFIT電気を供給できる(同2項-1)。このほかに市場の対象外である沖縄や離島、災害時などは、送配電事業者が小売電気事業者に直接FIT電気を供給する(同2項-2)。
FITが始まる以前には、電力会社に一定量の再生可能エネルギーの調達を義務づけるRPS(Renewable Portfolio Standard:再生可能エネルギー利用割合基準)制度があった。2003年度に開始した制度だが、対象になる発電設備の多くがFITへ移行して利用量は年々減少している(図6)。現在も経過措置としてRPS制度は続いているが、数年後に廃止する方針だ。
RPS制度の対象になっている発電設備の中には投資の回収が完了していないケースも想定されるため、RPS制度の廃止に伴ってFITへ移行できるようにする措置を講じる。FITの改正とRPS制度の廃止によって、日本の再生可能エネルギーは新しいフェーズに入る。CO2(二酸化炭素)を排出せず、放射能汚染のリスクもないクリーンなエネルギーによる電力が全国各地に拡大していく期待は大きい。
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