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採算改善進む植物工場、LED制御技術が成否のカギ:スマートアグリ(2/2 ページ)
環境に影響を受けずに作物の生産ができる植物工場。採算性が大きな課題だとされてきたがLED照明技術の進化や、生産ノウハウの蓄積などで徐々に改善が進んでいる。展示会「植物工場・スマートアグリ展」での出展内容を紹介する。
コンパクトな野菜生産装置が特徴の成電工業
成電工業(群馬県高崎市)は同社の主力製品である野菜生産装置「Social Kitchen」プラントシリーズを出展した。同装置は天井高が2メートル70センチあれば設置可能なコンパクト設計が大きな特徴。照明は自社開発の専用LEDを採用している。液肥供給システムと二酸化炭素供給システムを付属している他、停電などによる液肥のオーバーフローに対応した安全設計および一般生菌や他の菌管理による衛生管理も実現している。
栽培可能な作物はサンチュやリーフレタス、ターサイ、レッドビーツ、サラダ春菊、ルッコラなど。その他、レタスやベビーリーフなどの葉物野菜の栽培にも対応する。これまで国内だけでなく、中国(大連、上海)などで導入実績があり、海外からの問い合わせが増加している。展示会場でも北アフリカや中近東から訪れた関係者の視察する姿がみられた(図2)。
多段式で増設可能な柔軟性をアピールするアルミス広島
アルミス広島(広島県福山市)は多段式人工光型植物生産システム「野菜のKIMOCHI」を紹介した。同システムは天井高に合わせて多段式ユニットを採用し、立体的に室内を利用した環境制御型の閉鎖系植物工場。人工光を使用して、養液を循環する栽培方法で、液肥管理システムは養液の濃度、pHを自動管理する他、フィルターにより異物を除去し、さらに病原菌の増殖を防ぐ。
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