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次期新幹線は電力消費量を7%削減、駆動システムとバッテリーを小型・軽量に:省エネ機器(2/2 ページ)
JR東海は2020年度に投入する次期新幹線の車両製作に着手する。東海道・山陽新幹線の主力車両「N700系」をフルモデルチェンジして電力消費量を7%削減する計画だ。中核の駆動システムを小型・軽量化するほか、リチウムイオンバッテリーを採用して停電時にもトイレを使えるようにする。
全座席に電源コンセントを設置
このほかにもN700Sには各種の最新技術を搭載する。非常用のバッテリーを鉛蓄電池から小型・軽量のリチウムイオン電池に変更して蓄電容量を増やす(図5)。鉛蓄電池を搭載する現在のN700Aでは、架線からの電力供給が止まるとトイレを使うことができない。N700Sはリチウムイオン電池に蓄電できる電力量を増やして、停電時でも一部のトイレを利用できるようにする。
利便性の点ではグリーン車の座席に限定していた電源コンセントを、普通車を含めて全座席に設置する予定だ(図6)。新幹線の車内でノートパソコンやスマートフォンの利用者が増加していることに対応するサービスである。
安全性の面でも最新の情報通信技術を活用する。各種の機器の状態を記録したデータを「車両基地」に送信して車両の状態を詳細に分析するほか、車両に搭載した防犯カメラの映像を「総合指令所」でリアルタイムに見ることができる。車両基地では送られてきたデータをもとに、車内の温度が基準値の範囲に収まっているかなどを遠隔で監視することが可能になる(図7)。
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