遊水池の水上で太陽光発電、3700枚のパネルを浮かべて280世帯分の電力に:自然エネルギー(2/2 ページ)
瀬戸内海に面して広がる岡山県の干拓地で水上式の太陽光発電所が運転を開始した。治水のために設けた遊水地を利用して、発電能力はメガソーラー並みの973kWになる。フランス製のフロートの上に太陽光パネルを搭載した。大阪ガスグループが運営して280世帯分の電力を供給する。
高密度ポリエチレン製の軽量フロート
水上式の太陽光発電で利用するフロートは、太陽光パネルを搭載しても水面に浮かぶように軽量であることが条件になる。エナジーバンクジャパンが採用したフロートは高密度ポリエチレンを素材に使ったフランスのシエル・テール社の製品で、劣化や腐食にも強い特徴がある。国内では京セラが兵庫県の2カ所で運転中の水上式メガソーラーで採用している(図5)。
シエル・テール社のフロートは形状が違う2種類を組み合わせて、傾斜があるフロートに太陽光パネルを設置する方式だ(図6)。発電設備全体を2種類のフロートで長方形に組み上げた後、アンカーを付けたワイヤーを周辺部から水中に投入して位置を固定する。浮体式の洋上風力発電設備をアンカー付きのチェーンで海上に固定させるのと同様の方法である。
水上式の太陽光発電は陸上に建設する場合と比べて土地を造成する必要がなく、夏でも太陽光パネルの温度が上昇するのを防いで発電効率の低下を抑えられるメリットがある。その一方で強い風が吹くと水面が揺れて太陽光パネルが傾き、水がかかって水滴が付着するなど運用面の課題も残っている。
最近では関西を中心に農業用ため池で水上式の太陽光発電が広がり始めたほか、治水用の調整池や遊水池、さらにはダムの水面を利用した大規模なメガソーラーの建設プロジェクトも進行中だ。水上式の運転実績が増えれば、より効率的な建設・運用ノウハウが蓄積されていく。広い空き地が少ない地域では水上式の太陽光発電が有効な導入方法になる。
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