太陽光発電に残る課題、安全指標とパネルのリユース技術を確立へ:太陽光(2/2 ページ)
一気に普及が進んだものの、課題も多く残る太陽光発電。NEDOでは新プロジェクトとして、発電設備の設計ガイドラインの策定と使用済み太陽電池のリサイクルに関する技術開発を実施する。発電設備の安全性の確保や、将来大量に発生する使用済み太陽電池のリサイクル課題などの解決を目指す方針だ。
将来大量に発生する使用済み太陽電池をどうするか
太陽光発電設備が急速に普及した影響で、将来、関連廃棄物が大量に発生すると想定されている。主な廃棄物の1つが使用済み太陽電池モジュールだ。環境省は2016年4月に太陽電池廃棄物のリサイクルガイドラインを発表したが、これによれば製品寿命を25年とした場合、2020年に約3000トン、2030年で約3万トンの使用済み太陽電池モジュールが発生する見込みだ(関連記事)。安全かつ最適な手順で廃棄していくのと同時に、リサイクルやリユースなどによって廃棄量を削減していく取り組みも重要になる。
今回NEDOではこうした使用済み太陽電池モジュールに関する技術開発として、新たに2つの研究テーマを採択した。1つが太陽光発電技術研究組合が実施する「On-Siteでのリユースモジュール分別技術の開発」である。これは太陽電池モジュールを解体した現場(オンサイト)で、すぐにモジュールの状態を確認して、リユース可能であるかどうかを判別できるようにする技術だ。このシステムを「移動式PVラボ」と呼ばれるトラックに組み入れ、現場での低コスト分別を可能にし、運搬、梱包コストの低減と分別処理時間の短縮を目指す(図2)。
もう1つはジー・エム・ジーエコエナジーが実施する「使用済み太陽電池モジュールの低コスト修復技術の開発」である。修復すれば再利用できる太陽電池をうまく活用していくことで、廃棄量を削減する狙いだ。
なお、この2つの研究テーマは既に実施している「太陽光発電リサイクル技術開発プロジェクト」(2014〜2018年度)の一環として2016〜2018年度に実施予定する計画だ。
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