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世界初の「電気道路」がスウェーデンに、架線から電力を受けてトラックが走る:電気自動車(2/2 ページ)
スウェーデンの公道が2キロメートルにわたって「電気道路」になった。道路の上に電車の線路と同様の架線を張り、トラックの屋根から伸ばしたパンタグラフで電力を受けて走行する。化石燃料の削減に取り組むスウェーデン政府と民間企業が共同で推進する世界初の試みだ。
無線で充電できる電気バスも開発
「電気道路」はスウェーデン政府と民間企業が共同で出資して設置した。投資額は1億2500万スウェーデンクローネ(SKE)で、日本円に換算すると約15億円になる(1SKE=約12円で換算)。スウェーデン政府は2030年までに化石燃料で走る自動車を削減する計画を進めていて、その一環で「電気道路」のプロジェクトにも公的資金を投入した。
スウェーデンでは再生可能エネルギーによる電力の割合が50%を超えている。ハイブリッド電気トラックを走らせると、CO2(二酸化炭素)の排出量を最大90%削減できる見込みだ。エネルギーの消費量はガソリン車やディーゼルエンジン車と比べて50%以上も少なくて済み、燃費の点でも有利になる。
ハイブリッド電気トラックを開発したスカニアは、無線(ワイヤレス)で充電できるハイブリッド電気バスも開発済みだ。道路の下に埋設した充電器から、バスの床下に装着した受電装置まで電力を送ることができる(図4)。受電した電力をバスの屋根に搭載した蓄電池に充電しながら走る。すでにテストを完了して、まもなくスウェーデン南部のセーデルテリエ市で運行を開始する予定だ。
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