エネルギーの完全自給自足を目指す浜松市、スマートな政令指定都市へ:スマートシティ(2/2 ページ)
電力の地産池消を目指す浜松市は、太陽光発電の総合展示会「PVJapan2016」で講演し、官民協力による地方の地産地消エネルギーシステム実現に向けた取り組みを紹介した。
電力自給率は4.3%から10%に
エネルギーの自給自足に向けては、補助金を準備するなど普及を促進。2011年度に4.3%だった自給率は2015年度末には10.0%に向上。2030年度には20.3%を目指すとしている。「これらの数値には大・中規模水力発電は含まれていないが、これを足すと2015年度末には自給率は56.6%となる」と北村氏は述べている。
発電方法については、エネルギービジョンに「太陽光発電導入日本一」を掲げ、取り組みを進めている。「浜松市は全国的に見ても日照時間が長く、太陽光発電の最適地である。エネルギービジョンにも太陽光発電導入日本一を明記し、取り組みを進めている」(北村氏)。
住宅向けでは補助金を実施し、発電合計55MW、出力平均4.7kWの実績を実現。さらに、市の遊休地を活用した太陽光発電事業や、学校の屋根貸し太陽光発電事業などを実施している。また、太陽光発電設置に関する規制緩和なども実施。さらに太陽光発電などの事業化支援や相談などを行う浜松市ソーラーセンターを設置し、全力で太陽光発電の普及を支援している。これらの取り組みから、大規模太陽光発電設備は1000kW以上のメガソーラー発電所が36カ所も市内にあるなど、導入は順調に拡大している。10kW以上のソーラーの導入件数は2014年度で3463件となり2位の岡山市をおさえてトップ、合計の導入量ランキングも18万0225kWとトップとなっている。
電力地産地消の担い手「浜松新電力」
これらの豊富な地産電源を生かし、これを地産池消し地方での循環化を狙って設立したのが新電力の「浜松新電力」である。浜松新電力は、浜松市の他、NTTファシリティーズ、NECキャピタルソリューションと中部瓦斯、遠州鉄道などの地元企業を含む合計9者の共同出資で設立。浜松市内の16カ所の太陽光発電所と清掃工場のバイオマス発電で役1万1000kWの電力を調達し、浜松市の公共施設や家庭、企業などに電力を販売している。
北村氏は「調達発電量の内で安定的に発電できるバイオマス発電の一方で、太陽光発電は日射量の推移で変動する。販売を最大化するためにこの変動推移と近い消費推移を見極めて特に事務所ビルを中心に販売提案を進めている」と述べている。さらに「現状では電力の販売に特化しているが、将来的には総合エネルギーサービス化を進め、さらに生活支援総合サービスへとサービス領域を拡大していく方針だ。日本版『シュタットベルケ』を目指したい」と北村氏は語る。
さらに浜松市スマートシティ推進協議会を2015年6月に設立し、第三都田地区の工業団地のスマート化などにも取り組んでいる。北村氏は「浜松市は都市部も工業地区も農業地区も存在し国土縮図型都市といわれている。このフィールドにさまざまな事業者を呼び込むことで民間活力を生かした地産地消エネルギーシステムを築きたい」と述べている。
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