水道にもスマートメーター活用の波、米大手が日本市場に本格参入:スマートシティ(2/2 ページ)
米Sensusの日本法人であるセンサスジャパンは、同社の水道スマートメーター「iPERL」が、産業技術総合研究所より型式承認を取得したと発表した。通信機能を備え、高精度な流量計測が行えるのを強みとする。現在神戸市で同製品を使った実証実験も行っているところだ。日本でも水道事業におけるスマートメーターの活用検討が進んでいることを受け、本格的に日本市場に参入する。
神戸で実証事業を実施
センサスジャパンは2016年から、NTT西日本、神戸市水道局、ミライト・テクノロジーズと共同で、神戸市内でiPERLを活用した共同実証に取り組んでいる。神戸市内の9カ所に合計10台のiPERLと端末固定無線局、1台の基地局、2台の端末移動無線局を設置し、水流量の遠隔情報収集などを実証している(図2)。
使用している周波数帯は280MHz帯で、これとSensusが強みとする広域無線技術「FlexNet」を組み合わせている。実証では給水管の流量だけでなく、漏水の監視、さらに一般的に利用されているアナログ水道メーターとの制度比較なども行っている。実証は2017年3月まで行う予定だが、現時点では良好な結果が得られているという。
センサスジャパンの代表取締役社長を務める中敏行氏は「水道スマートメーターを利用して得られるデータを活用することで、流量の正確かつ迅速な計測だけでなく、漏水の検知や最適な流量調整など、事業の効率化と省エネが図れると考えている。現在目視で行われていることが多い検針の自動化を含め、水道スマートメーターを導入することでさまざまなオペレーションを向上できる点を提案していきたい」と述べる。
先述した通り、当面iPERLは無線モジュールを内蔵しない形で販売することになる。価格ついては一般的な水道計より高額になるが「その分高機能であり、また、単なる水道計ではなくエンドポイントなる製品として差別化を図っていきたい」(中氏)としている。水道スマートメーターの活用については収集したデータの集積基盤やその後の分析・活用方法など、仕組みが定まっていない部分も多い。センサスジャパンではこうした領域についてはこうした技術を持つ他社との協業も積極的に推進していく方針だ。
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