「太陽光発電道路」が米国で実証開始、米国発展を支えたルート66で:蓄電・発電機器(2/2 ページ)
太陽光発電に必要な土地の問題を解決する取り組みの1つとして道路に太陽光発電設備を敷設する「太陽光発電道路」が注目を集めている。既にいくつかの国で取り組みが始まっているが米国でも実証が始まった。
「Solar Roadways」太陽光パネルで雪をとかす
「Solar Roadways」の太陽光発電パネルが画期的なのは単純に道路を使って発電をするというだけではない点である。ヒートパネルを組み込むことで、雪をとかす機能を道路に加えることも可能だとしている(図5)(図6)。
路面表示を自由に変更するような使い方も
さらに同パネルに、LED発光機能を加えることで、発光させて路面標示を状況に合わせて変更するような使い方なども可能だという。例えば、駐車場などで障がい者など優先用スペースなどが埋まった際に急きょ通常スペースの1つを優先スペースに切り替えるなどの対応が紹介されている。また、耐圧センサーや対物センサーなどと組み合わせることにより、野生動物の侵入地点だけパネルを発光させることで、運転者に注意を促すようなことも可能だ(図7)(図8)。
これらのようにSolar Roadwaysでは、同社のパネルが通常の道路素材に比べて優れる20の特徴を紹介している(図9)。
旧国道66号線関連施設で実証
今回の実証実験では、米国を横断する国道として栄えた旧国道66号線関連施設「the Historic Route 66 Welcome Center」で行うとしている。国道66号線は米国の東部と西部を結ぶ国道として沿線の隆盛を呼んだが、1950年代以降州間高速道路システムの整備が進んだことで、廃線となった。その後、州道として一部活用がされてきたが近年「歴史的道路」として再注目されてきたという。今回、国道66号線の廃線要因となった州間高速道路の老朽化が呼び水となって、旧国道66号線で最新技術の実証が行われるというのは時代の移り変わりを象徴する出来事といえるかもしれない。
関連記事
- フランスが進める「太陽光発電道路」、5年間で1000kmを建設予定
再生可能エネルギーの中で普及が進んでいる太陽光発電。しかし、メガソーラーなど大規模な発電設備を設置できる場所には限界がある。こうした中で大きな面積を保有する「道路」を活用しようという動きがフランスで進んでいる。 - 世界初の「電気道路」がスウェーデンに、架線から電力を受けてトラックが走る
スウェーデンの公道が2キロメートルにわたって「電気道路」になった。道路の上に電車の線路と同様の架線を張り、トラックの屋根から伸ばしたパンタグラフで電力を受けて走行する。化石燃料の削減に取り組むスウェーデン政府と民間企業が共同で推進する世界初の試みだ。 - オランダの夢「太陽光道路」、無線で車へ電力送る?
オランダで太陽電池を埋め込み、発電する世界初の道路「SolaRoad」が完成した。100m当たり一般家庭3世帯分の電力が得られるという。当初は道路の照明や家庭への電力供給を試みる。最終的な目標は自給自足可能な交通システムの基盤となることだ。 - 世界最大の水上メガソーラーが発電開始、ため池が日本で最も多い兵庫県で
兵庫県の中部にある2つの農業用ため池で水上設置型のメガソーラーが運転を開始した。合計1万枚を超える太陽光パネルを池に浮かべて、920世帯分の電力を供給することができる。水上に設置するためのフロートには、紫外線や腐食に強い高密度ポリエチレンで作ったフランスの製品を採用した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.