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NEDOの新エネ事業、「ジャイロ追尾型太陽光」など3テーマが大規模実証へ:自然エネルギー(2/2 ページ)
NEDOは再生可能エネルギー関連技術を持つ中小・ベンチャー企業の活性化を目的に、2007年度から「新エネルギーベンチャー技術革新事業」を実施している。このほど2016年度の委託・助成先として4分野・19テーマが決まった。今年度から有望技術を着実に実用化するために大規模実証研究の支援項目を新設しており、3つのテーマを採択している。
3つのテーマを初採択
1つ目はSolarFlame(東京都港区)が実施する「ジャイロ追尾型太陽光発電の大規模実証開発」だ。同社は東京工業大学の研究成果の事業化を目指す大学発ベンチャー企業。これまでもNEDOプロジェクトで、太陽熱発電を活用する商業プラントの実証など、太陽光関連の技術開発を進めてきた実績がある。
2つ目はバイオマス関連のテーマだ。ティービーエム(埼玉県所沢市)が実施する「トラップグリースを活用した都市市街地での発電・電力供給実証」が採択された。同社は汚水に含まれる油脂を分離回収する装置の開発などを手掛ける。過去のNEDOプロジェクトではこうした未利用の油脂を活用するバイオマス発電技術の開発に取り組んでいる。
3つ目は高性能化に期待がかかる燃料電池・蓄電池するテーマである。ベンチャー企業であるスリーダム(神奈川県相模原市)が実施する「リチウム二次電池用セパレータの製造技術の確立」が採択されている。同社は2014年創業のベンチャー企業で、リチウム電池の高性能化に貢献する特殊な3次元構造を持つセパレータの開発に取り組んでいる。
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