太陽光と風力で発電する街路灯、静粛性を高め都市部でも使いやすく:省エネ機器
NTNは太陽光発電と風力発電システムで発電する街路灯の新製品を発表した。風力発電機の羽の形状を工夫し、風切り音による騒音を抑え、都市部にも導入しやすくした。バッテリーを搭載しており、非常用電源としても活用できる。
NTNは風力と太陽光の2つの自然エネルギーで発電した電力をバッテリーに充電し、夜間にLED照明を自動点灯するハイブリッド街路灯の販売を、2016年7月から開始した。高さは約6メートルで、定格出力90W(ワット)の太陽光発電システムと、同0.2kW(キロワット)の風力発電機を搭載(図1)。静粛性を高めて住宅地や都市部にも導入しやすくした。
市場では、風力と太陽光の2つの自然エネルギーを利用する、より発電能力の高い街路灯が求められているが、住宅地や公共施設では翼の風切り音による騒音が問題となる。そのため、高い静粛性が要求される。NTNのハイブリッド街路灯は、独自の翼形状を持つ垂直軸風車を採用することで風切り音の発生を抑える。独自の肉厚の翼形状と、翼先端に設けたウィングレットで、翼先端部での空気の剥離(はくり)と渦乱流の発生を防ぐことで静粛性を高めたという。加えて、垂直翼の採用によりどの方向から風を受けても発電できるようにした。
NTNでは公園、学校などの公共施設、バス停、駐車場、商業施設や災害避難場所などへの導入を見込んでいる。付属バッテリーは満充電状態で5日間分の照明用電力を補うことができ、災害時の非常用電源としても使用できる。また用途に応じて翼や支柱の配色、LEDライトの変更やベンチの追加といったデザインの設計変更も受け付ける。
ハイブリッド街路灯は、2016年5月に開催された伊勢志摩サミットのメディアセンターとなった「三重県営サンアリーナ」などに使用された実績がある。今後は、電気パネルを付設して広告塔としての活用や、USB対応、Wi-Fi機能、防犯カメラなど追加オプション機能も検討しており、機能と用途の幅を広げていく方針だ。
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