福島沖に5MW洋上風力の設置が完了、2016年秋に運転開始へ:自然エネルギー
福島県沖の海域に「福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業」で3基目となる洋上風力発電設備の設置が完了した。出力は5MWで、今後送電ケーブル工事などを行い2016年秋に発電を開始する計画だ。
福島洋上風力コンソーシアムは2016年8月1日、「福島浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業」のもとで設置を進めている3基目の浮体式洋上風力発電設備「ふくしま浜風」の設置が完了したと発表した。
ふくしま浜風は淡路島洲本沖で5MW(メガワット)の風車を浮体上に搭載し、7月2日に福島県沖に向けて曳航を開始。4隻の曳船で時速6〜8キロメートルで、和歌山県潮岬沖から三宅島沖経由で太平洋を北上した。7月10日に実証海域に到着後、7月20日に6本の係留で固定し、設置作業が終了した(図1)。
同風力発電には発電能力5MWの大型風車を備えており、既にに運転を開始している「ふくしま未来」の2MW風車および「ふくしま新風」の7MW風車を加えると合計14MWの世界最大の浮体式洋上ウインドファームとなる。5MW風車は海面からローター中心までの高さは86メートル、風車の最高到達点は150メートルに達する。
今後、海底送電ケーブルと浮体の接続を行うためのライザーケーブル工事および5MW風車の試運転調整を行い、2016年秋の発電開始を目指す。
福島洋上風力コンソーシアムは丸紅(プロジェクトインテグレータ)、東京大学(テクニカルアドバイザー)、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド、三井造船、新日鐵住金、日立製作所、古河電気工業、清水建設、みずほ情報総研から構成され、経済産業省からの委託事業として浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業に取り組んでいる。
実証研究事業は、2011年にスタート。世界初となる浮体式洋上風力発電所を実現するため福島県沖で浮体式洋上風力発電システムの実証研究を行い、安全性・信頼性・経済性を明らかにすることを目的としている。
同実証研究事業を行うことで浮体式洋上風力発電のビジネスモデルを確立し、大規模浮体式洋上風力ウィンドファームの事業展開を実現することに貢献する考えだ。また、世界で初めての浮体式洋上ウィンドファームのノウハウを蓄積し、海外プロジェクトに展開することによって、日本の輸出産業の育成にも繋げていく方針である。
さらに実証研究事業の展開により、東日本大震災の被害からの復興に向けて、再生可能エネルギーを中心とした新たな産業の集積・雇用の創出を行い、福島が風車産業の一大集積地となることを目指している。
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