京都に行けばMIRAIを運転できる、全国初の有料カーシェアリング開始:電気自動車(2/2 ページ)
京都市は水素エネルギーの普及に向けて燃料電池車「MIRAI」の有料カーシェアリング事業を開始した。民間のレンタカー会社に委託して、京都駅に近い店舗で3台を2017年3月まで貸し出す。利用料金はハイブリッド車と同程度で、水素の燃料代は走行距離1キロメートルあたり15円に設定した。
京都市内に水素ステーションは2か所
カーシェアリングの利用者が走行途中に水素ステーションで補給した場合には、車両の返却時にレシートを見せて燃料代を精算できる。現時点で京都市内には水素ステーションが2か所ある。2016年2月に大阪ガスが南区に開設した移動式の「上鳥羽水素ステーション」と、3月にJXエネルギーが伏見区のガソリンスタンドに併設した「Dr. Driveセルフ菱川店」で、いずれも京都駅から南側の地域にある(図4)。
燃料電池車を普及させるためには、水素ステーションの拡大が欠かせない。京都市内の2カ所を皮切りに、京都府全体では2020年までに7カ所、2025年までに15カ所へ広げる目標を掲げている。20〜30キロメートル圏内に水素ステーションを1か所ずつ整備して、府内の燃料電池車の導入台数を2万台に増やす計画だ。
京都市では1997年に「地球温暖化防止京都会議(COP3)」が開かれて、主要国が温室効果ガスの削減目標を盛り込んだ「京都議定書」に合意した。そうした経緯から「環境先進都市・京都」をスローガンに掲げて温室効果ガスの削減に取り組んできた。
2013年に京都市が設定した中長期の目標では、京都議定書の基準年になっている1990年度に対して、2020年度で25%、2030年度には40%を削減する(図5)。2013年度の実績では1990年度比で1.1%の増加になっているため、目標の達成には抜本的な対策が求められている。
燃料電池車は走行時にCO2(二酸化炭素)を排出しないことから、ガソリン車と比べて温室効果ガスの削減に有効だ。ただし燃料の水素は現在のところ化石燃料から製造する量が多いため、生産時にはCO2を排出する。最近は全国各地で再生可能エネルギーからCO2フリーの水素を製造する試みが広がってきた。CO2フリーの水素で燃料電池車を走らせると、温室効果ガスの排出量は限りなくゼロに近づく。
関連記事
- 京都初の移動式ステーション、水素で2拠点をつなぐ「マザー&ドーター方式」
大阪ガスが京都市南区で建設を進めていた、京都府初となる移動式の水素ステーション「上鳥羽水素ステーション」がこのほど完成した。2016年3月30日の開所を予定している。同社が既に大阪府で開設している「北大阪水素ステーション」で製造した水素を運搬し、燃料電池自動車(FCV)に提供していく。 - 燃料電池車をタクシーに、福岡市で5台の導入が決まる
国土交通省がバスやトラックなどを対象に2012年度から実施している「地域交通グリーン化事業」で初めて燃料電池車が選ばれた。補助金を適用して福岡市のタクシー5台に燃料電池車を導入する。福岡市は2008年度から「福岡水素タウン構想」を推進してきた水素エネルギーの先進地域である。 - 水素+再生可能エネルギーで電力と燃料を作る、CO2削減の切り札に
火力発電に伴って大量に発生するCO2の削減が世界全体で緊急課題になっている。CO2を排出しない再生可能エネルギーに加えて水素を活用する取り組みが日本の各地で始まった。下水処理で発生するバイオガスや太陽光・風力・小水力発電から水素を製造して、燃料電池で電力と熱を作り出す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.