ニュース
海に浮かぶ空港に太陽光発電所、1万世帯分の電力を海底ケーブルで:自然エネルギー(2/2 ページ)
日本初の本格的な海上空港である長崎空港の隣接地で、巨大なメガソーラーが運転を開始した。長さ3000メートルの滑走路に隣接する用地に、合計18万枚の太陽光パネルを設置した。一般家庭の1万世帯分にのぼる電力を、10キロメートルの海底ケーブルを通じて長崎県内に供給する。
空港はメガソーラーの適地
長崎空港のメガソーラーでは滑走路から100メートル程度の距離に大量の太陽光パネルが並んでいる(図4)。太陽光パネルの設置枚数は合計で約18万枚にのぼる。パネルの表面で反射する光が航空機の離着陸に支障をきたさないように、反射の少ない太陽光パネルを採用した。
化合物のCIS(銅・インジウム・セレン)によるソーラーフロンティア製の薄膜タイプの太陽電池だ。パネルの表面にガラスを装着しない方式で光の反射を抑えることができる。同じタイプの太陽光パネルは関西国際空港が2014年に運転を開始した「SF関西メガソーラー 関西国際空港発電所」(発電能力11.6MW)でも使われている(図5)。
空港は平坦で周囲に広大な土地があるため、メガソーラーを建設するのに適している。国内では関西国際空港のほかに鳥取空港でも2MWのメガソーラーが2015年に運転を開始した(図6)。鳥取空港では結晶シリコンによる太陽光パネルで光の反射を抑えた製品を採用している。
関連記事
- 島の海洋エネルギーで燃料電池船も走る、温泉地には地熱バイナリー発電
長崎県の五島列島で海洋エネルギーの開発が活発だ。浮体式による日本初の洋上風力発電設備が運転中で、余った電力から水素を製造して燃料電池を搭載した船に供給する。県内のテーマパークでも太陽光発電と組み合わせた水素エネルギーの導入が始まり、温泉地では地熱発電の実用化が進む。 - 太陽光で電力をまかなうインドの空港、発電量が使用量を上回ってCO2フリーに
インドの南部にある「コーチン国際空港」で発電能力12MWのメガソーラーが運転を開始した。年間の発電量は空港内の電力需要を上回り、世界で初めて太陽光発電で運営できる空港になる。蓄電池などは設置せず、昼間の電力を売電しながら夜間に電力を買い戻す方式を採用した。 - 太陽光の反射を抑えたメガソーラー、関西国際空港の滑走路脇に完成
関西国際空港にある4000メートルの滑走路の脇に建設していたメガソーラーが完成して、2月1日に運転を開始する。発電能力は11.6MW(メガワット)に達し、大阪府で最大の規模になる。航空機の運航に影響を与えないように、太陽光の反射を抑える発電パネルを採用した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.